セレナーデ第7番 (モーツァルト)

セレナード第7番 ニ長調 K.250（K6.248b）

モーツァルトが1776年に作曲した『セレナード第7番ニ長調 K.250』は、その優美さと多彩な楽章構成から特に注目されています。この作品は、ザルツブルクの影響力のあるハフナー家の結婚式の前夜祭のために依頼され、同年の7月21日に初めて演奏されました。また、このセレナードは『ハフナー・セレナード』という愛称でも知られています。

作曲背景

このセレナードの依頼は、ハフナー家が大きなイベントを控えていたためであり、モーツァルトはこの機会に特別な作品を提供しました。彼の作品は常に洗練されており、聴く者に感動を与えるもので、特にこのセレナードにおいてもその特徴が色濃く現れています。また、このセレナードと同時に作曲された行進曲 K.249は、演奏者が入退場する際に使用されました。

楽器編成と曲の構成

『セレナード第7番』は、以下のような多彩な楽器編成で演奏されます。

• - フルート2
• - オーボエ2
• - ファゴット2
• - ホルン2
• - トランペット2
• - ヴァイオリン2部
• - ヴィオラ
• - コントラバス

この編成により、独特の音色を生み出し、聴衆を引き込む効果があります。特に、演奏時間は約58分と長めであり、第2楽章から第4楽章にかけては独奏ヴァイオリンがフィーチャーされ、ヴァイオリン協奏曲のような性格を持つ楽章が展開されます。具体的な楽章は以下の通りです。

1. 第1楽章 アレグロ・マエストーソ ニ長調
4/4拍子からアレグロ・モルト 2/2拍子に移行します。
2. 第2楽章 アンダンテ ト長調
3/4拍子で落ち着いた雰囲気。
3. 第3楽章 メヌエット ト短調
3/4拍子でありながら、少し切ない響き。
4. 第4楽章 ロンド、アレグロ ト長調
2/4拍子で活気に満ちた展開が楽しめます。
5. 第5楽章 メヌエット・ガランテ ニ長調
3/4拍子の優雅なメヌエット。
6. 第6楽章 アンダンテ イ長調
2/4拍子で感情的なメロディ。
7. 第7楽章 メヌエット ニ長調
3/4拍子に戻ります。
8. 第8楽章 アダージョ ニ長調
4/4拍子からアレグロ・アッサイ 3/8拍子に変化します。

交響曲への編曲

興味深いことに、モーツァルトは本作の中から特定の楽章を省き、交響曲として再編成することもしました。具体的には、第1楽章、第5楽章、第6楽章、第7楽章、第8楽章の5つを用い、約32分にまとめられた交響曲が誕生しました。この編曲版は、長い間注目されることはなかったものの、最近では交響曲全集に収録されるようになりました。一部の演奏ではティンパニが加えられています。

第4楽章の影響

特に第4楽章はクライスラーによってヴァイオリンとピアノ用に編曲されたことで有名であり、このアレンジはスズキ・メソードのヴァイオリン科の卒業課題として知られています。

二つ目のハフナー・セレナード

実はモーツァルトは1782年にもハフナー家のためにセレナードを作曲しています。この2作目では一部のメヌエットが失われ、その後にフルートとクラリネットを加えて交響曲第35番『ハフナー』として再編されることとなりました。

モーツァルトの創造したこの作品群は、聴く側に深い美しさと感動を与え続けており、作曲家の才能を示す重要な証です。

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