センリョウ

センリョウ（千両）とは

センリョウ（学名: Sarcandra glabra）は、センリョウ科に属する常緑性の小低木です。冬に赤く色づく果実が美しく、正月の飾りとして用いられるなど、日本人に親しまれています。本州以南の温暖な地域に自生し、庭木としても栽培されています。

特徴

形態: 草丈は50cmから150cm程度。葉は対生し、光沢のある革質で、縁には鋸歯があります。茎は緑色で直立し、まばらに分枝します。
花: 花期は6月から7月。花弁や萼はなく、1つの雌しべと1つの雄しべからなるシンプルな構造をしています。
* 果実: 果期は11月から1月。球形の核果で、熟すと鮮やかな赤色になります。果実には、雌しべと雄しべの痕跡である黒い点が2つあります。黄色い実をつける品種もあり、キミノセンリョウと呼ばれます。

名前について

その名の由来は、赤い実をたくさんつける様子を、縁起の良い「千両」に見立てたことによります。江戸時代には「仙蓼」や「珊瑚」とも呼ばれていました。また、同じように赤い実をつけるマンリョウ（万両）と対比されることも多く、正月の縁起物として親しまれています。

別名として、クササンゴ（草珊瑚）と呼ばれることもあります。これは、赤い果実がサンゴのように見えることに由来すると考えられています。

分布と生育環境

日本（本州以南）、韓国、台湾、中国南部、東南アジアなどに分布しています。日本では、常緑広葉樹林の林床に群生することが多く、暖地の半日陰を好みます。

人間との関わり

センリョウは、その縁起の良い名前と美しい実の姿から、正月の飾りとして重宝されています。生花市場ではセンリョウ市が開かれるほど人気があり、特に茨城県や千葉県で多く生産されています。

庭植えや鉢植えでの観賞用としても広く栽培されており、黄色い実をつけるキミノセンリョウや、斑入りの園芸品種も存在します。古くから生け花にも用いられてきました。

花言葉は「利益」「祝福」「富」「財産」「裕福」など、縁起の良い言葉が並びます。

また、センリョウの若い枝葉は生薬としても利用されます。中国では、抗菌、消炎、去風除湿、活血、止痛などの効能があるとされ、様々に用いられています。

類似種との区別

センリョウとよく似た植物に、マンリョウ（万両）があります。どちらも赤い実をつけますが、マンリョウは葉幅がやや狭く、果実の色もセンリョウに比べてくすんでいます。また、サクラソウ科にはイズセンリョウ属という、センリョウと少し似た植物も存在します。

センリョウを愉しむ

センリョウは、その美しい赤い実と縁起の良い名前から、古くから日本人に愛されてきた植物です。正月の飾りとしてはもちろん、庭木や鉢植えとしても楽しむことができます。また、生薬としての利用や、花言葉の意味を知ることで、より深くセンリョウの魅力を感じることができるでしょう。

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