マンリョウ

マンリョウ（万両）とは

マンリョウ（学名：Ardisia crenata）は、サクラソウ科ヤブコウジ属に分類される常緑性の小低木です。日本では、縁起の良い名前から、お正月の飾りとしてセンリョウ（千両）などと共に利用されています。

名称の由来

和名の「マンリョウ」は、センリョウよりも実が大きいことに由来するという説があります。また、ナガバマンリョウ、オオマンリョウ、オオミマンリョウ、オオバマンリョウ、トガリマンリョウ、ハナタチバナなどの別名も存在します。ただし、「マンリョウ」と「センリョウ」は互いに別名として使われることもあり、混同しやすい点に注意が必要です。

分布

マンリョウは、日本、中国、台湾など東アジアからインドにかけての温暖な地域に広く分布しています。日本では、関東地方以西の本州、四国、九州、沖縄に自生しており、暖地の林内で見られます。また、庭木としても広く植えられています。しかし、アメリカ合衆国フロリダ州では、外来の有害植物として問題になっています。

形態・生態

マンリョウは、高さ2メートル足らずの常緑小低木で、センリョウよりもやや大きく、枝が少ないのが特徴です。同じ属のヤブコウジに似ていますが、ヤブコウジは高さ10センチ[[メートル]]程度と小さいため、容易に区別できます。根元から新しい幹を出し、株立ちになります。

葉は互生し、長楕円形で革質です。葉の縁は波状の鋸歯があり、光に透かすと黒点が見えます。また、葉の波状に膨れた部分には、共生細菌が詰まった部屋が内部に形成されています。

花期は夏（7月頃）で、白色の小花を小枝の先に散形花序として咲かせます。果実は液果で、10月頃に赤く熟し、翌年の2月頃まで枝に残ります。この赤い実と緑色の葉のコントラストが非常に美しいです。栽培品種の中には、白や黄色の実をつけるものもあります。

人間との関わり

マンリョウは、センリョウとともに、その縁起の良い名前から、庭木や鉢植えとして、また正月の花材として利用されています。特に、関西地方では、センリョウやアリドウシと一緒に植えて縁起を担ぐ風習があります。庭園では、根締めの植物として利用され、古典園芸植物の一つとしても知られています。江戸時代には、葉が縮れたりする変異個体が選抜され、多様な品種が栽培されてきました。

参考文献

辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社、2006年
平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年
茂木透 写真『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』山と溪谷社、2001年

外部リンク

Ardisia crenata Sims - Integrated Taxonomic Information System (英語)
Ardisia crenata Sims - Germplasm Resources Information Network (英語)
Ardisia crenata - National Center for Biotechnology Information (英語)
* Ardisia crenata - Encyclopedia of Life (英語)

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