ゼカリヤ (預言者)

ゼカリヤは、紀元前6世紀後半に活躍したユダヤ人の預言者であり、旧約聖書にその名が記されています。彼の名前はヘブライ語で「זְכַרְיָה (Zəḵaryāh)」と綴られます。

ゼカリヤの生涯は、主に『ゼカリヤ書』と『エズラ記』を通して知ることができます。『ゼカリヤ書』によれば、彼はイドの子ベレクヤの子とされています。一方、『エズラ記』ではイドの子とだけ記されており、この点については、エズラ記の著者が一世代を省略し、「…の子」という言葉を孫の意味で用いたとする説があります。父であるベレクヤに関する詳しい記録は見つかりませんが、祖父にあたるイドは、バビロン捕囚から最初に帰還したゼルバベルに随伴した祭司とレビ人のリストにその名を確認できます。さらに、ヨキアムの時代には、祭司でありイド族の長としてゼカリヤの名前が記録されています。

旧約聖書には31人のゼカリヤが登場すると言われていますが、このイド族の長であるゼカリヤと、預言者ゼカリヤは同一人物であると考えられています。彼は、神殿再建という重要な時期に、民を励まし、神の言葉を伝える重要な役割を担いました。

エルサレムでは、ゼルバベルらが神殿再建に着手しましたが、一時的な妨害により中断を余儀なくされます。しかし、預言者ハガイの励ましによって、再建は再び動き始めました。この時期、ゼカリヤはまだ若い青年であったと推測されますが、ハガイを力強く支持し、共に神殿完成に向けて民を鼓舞しました。エズラ記には、彼らの活動が以下のように記されています。

「さて預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤのふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に向かって、彼らの上にいますイスラエルの神の名によって預言した。そこでシャルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子エシュアは立ちあがって、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも、彼らと共にいて彼らを助けた。」（エズラ記 5:1-2）

「そしてユダヤ人の長老たちは、預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの預言によって建て、これをなし遂げた。彼らはイスラエルの神の命令により、またクロス、ダリヨスおよびペルシャ王アルタシャスタの命によって、これを建て終った。」（エズラ記 6:14）

これらの記述からもわかるように、ゼカリヤはハガイと共に、神殿再建において非常に重要な役割を果たした人物でした。

参考文献

ジョアン・コメイ『旧約聖書人名事典』東洋書林、1996年。ISBN 4887210892。
ジョイス・G・ボールドウィン『ハガイ書、ゼカリヤ書、マラキ書』いのちのことば社〈ティンデル聖書注解〉（原著2005年初版）。ISBN 426402269X。

関連項目

第二神殿
ハガイ

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