ゼッド (音楽家)

ゼッド：世界を魅了する音楽プロデューサーの軌跡

ゼッド（Zedd）は、1989年9月2日、ロシアのサラトフ生まれ、ドイツのカイザースラウテルンで育った、世界的に有名な音楽プロデューサー、DJ、トラックメイカーです。本名はアントン・ザスラフスキ。彼の音楽は、エレクトロ・ハウスを土台としながらも、プログレッシブ・ハウス、ダブステップ、そしてクラシック音楽のエッセンスを巧みに織り交ぜた、独特のサウンドで知られています。

音楽一家に育まれた才能

両親が共に音楽家だったという環境の中で育ったゼッドは、4歳からピアノを始め、6歳で初めてのレコーディングを経験するなど、幼少期から音楽に深く関わってきました。12歳でドラムを始め、多様な楽器に触れることで音楽的な幅を広げていきました。兄と弟もいる、音楽に囲まれた家庭環境が、彼の音楽的才能を大きく開花させたと言えるでしょう。

キャリアの始まりと躍進

若くして音楽活動をスタートさせたゼッドは、当初はドイツのロックバンド「Dioramic」に参加していました。しかし、フランスのエレクトロニックミュージックデュオ、ジャスティスのアルバム『†』を聴いて衝撃を受け、2009年よりエレクトロニックミュージックの世界に本格的に進出します。

Zedd名義で活動を開始すると、数々のリミックス作品やオリジナル楽曲を発表し、2010年にはBeatportのリミックスコンテストで優勝。彼の最初のオリジナル曲「The Anthem」はエレクトロハウスのランキングで20位にランクインするなど、才能を早くから開花させました。スクリレックスの楽曲「Scary Monsters and Nice Sprites」のリミックスは最高2位まで上昇し、その高い技術力とセンスは瞬く間に業界で注目を集めました。

その後は、レディ・ガガ、ジャスティン・ビーバー、ブラック・アイド・ピーズ、安室奈美恵、B.o.B、スクリレックス、アリアナ・グランデなど、数多くの世界的アーティストとのコラボレーションを果たします。レディ・ガガのアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』のスペシャルエディションには、彼がリミックスした「ボーン・ディス・ウェイ」が収録されるなど、その存在感はますます大きくなっていきました。楽曲制作にはCubaseを使用し、Sylenth1、Nexus、SynthMaster 2.6などのプラグインを駆使して、洗練されたサウンドを生み出しています。

2011年9月にはシングル「Shave It Up」でソロデビューを果たし、本格的なキャリアをスタートさせました。

国際的なブレイクとグラミー賞受賞

2012年、インタースコープ・レコードと契約。同年6月にはシングル「Spectrum」をリリースし、「Billboard's Hot Dance Club Songs」で1位を獲得。その後も、「I Don't Like You」（エヴァ・シモンズ）のプロデュースや、「Beauty And a Beat」（ジャスティン・ビーバー、マックス・マーティンとの共作）など、数々のヒット曲を世に送り出しました。

同年10月には、デビューアルバム『クラリティ』をリリース。このアルバムに収録されたリードシングル「Clarity」(feat. Foxes)は全米シングルチャートで8位を記録する大ヒットとなり、プラチナディスクを獲得。この曲は、ゼッドを世界的なアーティストへと押し上げ、第56回グラミー賞最優秀ダンス・レコーディング賞を受賞するなど、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。

日本でも、安室奈美恵のアルバム『FEEL』のためにプロモーション・シングル「Heaven」をプロデュースするなど、グローバルに活躍の場を広げていきます。

2013年には、レディ・ガガのアルバム『アートポップ』から3曲をプロデュース。同年9月には、ヘイリー・ウィリアムス（パラモア）をフィーチャーした「Stay the Night」を発表し、こちらもプラチナディスクを獲得しました。

その後も、アリアナ・グランデ「Break Free」のプロデュースなど、数々のヒット曲を世に送り出し続けました。

更なる高みへ

2015年には2作目のスタジオアルバム『トゥルー・カラーズ』をリリース。セレーナ・ゴメスをフィーチャーした「I Want You To Know」や、ジョン・ベリオンをフィーチャーした「Beautiful Now」など、多くのヒットシングルを生み出し、ワールドツアーも開催しました。

2018年には、Maren Morrisをフィーチャーした「The Middle」が全米シングルチャートで5位を記録し、ゼッド最大のヒットとなりました。第61回グラミー賞では、最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞にノミネートされました。

近年も、マーティン・ギャリックスやDisclosureなど、世界的なDJ/プロデューサーとのコラボを続け、音楽シーンの最前線で活躍を続けています。2024年には、日本のアニメ「ドラゴンボールDAIMA」の主題歌を担当するなど、活動の幅はますます広がりを見せています。

まとめ

ゼッドは、類まれな才能と音楽への情熱、そして様々なアーティストとのコラボレーションによって、世界的な成功を収めた音楽プロデューサーです。彼の音楽は、今後も世界中の人々を魅了し続けることでしょう。

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