ゼロバンク

ゼロバンクは、かつてコンビニエンスストアチェーンのサークルKサンクス（後にファミリーマートが吸収合併）の子会社であった株式会社ゼロネットワークスが運営していたATMサービスです。

このサービスは、主に大垣共立銀行と提携して岐阜県や愛知県のサークルK、サンクス、そしてファミリーマートへ転換した店舗、一部のユニーグループ店舗などに設置されていました。サービス開始当初は、東京スター銀行や三重銀行とも連携することで、首都圏の4都県（東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県）や三重県でも展開されていましたが、提携契約の満了に伴い、これらの地域でのサービスは順次終了しました。

ゼロバンクの最大の特徴は、ゆうちょ銀行を除く全ての民間金融機関のキャッシュカードを利用した預金払い戻しが、原則として手数料無料で行えた点にありました。この方針は「手数料ゼロ主義。」というキャッチコピーにも明確に表れていました。ただし、この無料サービスは時間外手数料が別途発生する場合を除き、またATMの稼働時間や時間外手数料の取り扱いは、管理する提携銀行によって異なるという側面もありました。

利用客向けの手数料を減免するというサービス方針は、幹事行の競合となる他の金融機関との間に軋轢を生むこともありました。具体的には、東京スター銀行が管理するATMで三菱東京UFJ銀行（当時）のキャッシュカードが利用できなくなったり、大垣共立銀行と地域が重なる十六銀行のキャッシュカードの利用停止が一時アナウンスされたりといった事例が発生しました（十六銀行の件は後に利用停止が回避されています）。

提携銀行との関係性の変化は、サービス提供範囲に大きな影響を与えました。東京スター銀行との提携期間満了に伴い、2012年の夏以降、首都圏のゼロバンクATMは順次撤去され、ゼロネットワークスが展開する別のATMサービスであるBankTime（りそな銀行管理）に置き換えられました。同様に、三重銀行との提携終了に伴い、2013年9月以降、三重県内のゼロバンクも順次サービスを終了し、同年11月末までには百五銀行管理のイーネットATMへの切り替えが進められました。

ゼロバンクは2005年3月にサービスを開始しましたが、最終的には全てのサービスを終えることになります。2017年7月からは、主要な提携先であった大垣共立銀行が管理するゼロバンクATMが、順次ゆうちょ銀行のATMへと転換されることが発表されました。これに伴い、ゼロバンクは2018年11月30日をもって、約13年間の歴史に幕を下ろし、サービス提供を完全に終了しました。

「ゼロバンク」という名称は、運営会社であったゼロネットワークス（後にファミリーマートに吸収合併）の登録商標となっています。

サービス運営体制としては、サークルKサンクスとATM機器を供給する沖電気工業がパートナーシップを組む形でした。具体的には、サークルKサンクスと提携銀行が業務提携を行い、提携銀行がATMの管理業務をゼロネットワークスに委託。ゼロネットワークスはさらに、沖電気工業の子会社である日本ビジネスオペレーションズにその業務を再委託していました。設置されていた自動取引装置には、沖電気製のカスタマイズされたモデルが採用されていました。

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