ゼロレンジコンバット

ゼロレンジコンバット（零距離戦闘術）とは

ゼロレンジコンバットは、稲川義貴が考案した独自の格闘術です。 創始者である稲川義貴は、自らを「戦闘者」と称し、武道や格闘技とは異なる、実戦での戦闘に特化した思想を持っています。海外での過酷な経験から、従来の格闘技が実戦では通用しないことを痛感し、ゼロレンジコンバットを創設しました。

創始者：稲川義貴

稲川義貴は、「戦闘者」という独自の肩書きを持ち、所属団体内では「マスターインストラクター」と呼ばれています。この「戦闘者」という言葉には、軍事的な「戦闘」にこだわるという強い意志が込められています。海外での実戦経験を通じて、自身の格闘技が実戦では役に立たないと悟り、ゼロレンジコンバットの創設に至りました。また、明治神宮至誠館では講師も務めていますが、ここでは一般的な武術指導を行っています。

技術体系

ゼロレンジコンバットは、日本の古武術や精神を基盤とし、CQB（近接戦闘）など様々な状況を想定した格闘術です。特徴的なのは、空間的な距離に関わらず、身体操作を駆使して戦う点です。「零距離」という言葉には、特攻隊のように自らの危険を顧みず、敵に肉薄して戦うという思想も込められています。

稲川は、神刀流などの古流武術の他、古式ムエタイ、コマンドサンボなども学んでいます。そのため、古流武術の身体操作をベースに、システマやエスクリマなどの要素も取り入れられています。さらに、自衛隊格闘術や旧日本軍の綜合武術格闘術の要素も含まれており、徒手格闘だけでなく、ナイフ、警棒、フラッシュライト、銃器などの扱いも想定されています。

基本となる身体操作の一つに、「ウェイブ」と呼ばれる体幹を維持したまま肩甲骨を柔軟に回す動きがあります。

公的機関での採用

ゼロレンジコンバットは、陸上自衛隊の中央即応連隊や特殊作戦群、海上[[自衛隊]]の特別警備隊、警察の特殊急襲部隊など、有事の際に最前線で活動する部隊に指導されています。その他、自衛隊の基地や駐屯地、米軍特殊部隊にも指導実績があります。対象を完全に無力化する殺人術であるため、一般への直接指導は行われていませんが、「ウェイブ」などの基本操作は、アクション俳優やスタントマンが習うことがあります。ただし、一般向けの護身術とは異なり、対軍人・対テロリストを想定した高度な技術です。

メディア出演

稲川義貴は、日本文化チャンネル桜の番組「防人の道 今日の自衛隊」などに不定期で出演しており、番組内では、技を披露したり、自身の思想を語っています。

ゼロレンジコンバットが登場する作品

映画
『HiGH&LOW THE RED RAIN』 (2016) - 主人公の雨宮兄弟がゼロレンジコンバットを使用。
『RE:BORN』 (2017) - ゼロレンジコンバットが主題。稲川義貴が戦術戦技スーパーバイザーとアビスウォーカー役で参加。

参考文献

ZerorangeCombatSystem -零距離戦闘術- 公式サイト

関連人物

荒谷卓 - ゼロレンジコンバット名誉顧問。元陸上自衛官で、特殊作戦群の初代群長。稲川義貴とは特殊作戦群創設時に知り合い、親交を深めている。
伊藤祐靖 - ゼロレンジコンバット名誉顧問。元海上自衛官で、特別警備隊の先任小隊長を務めた。
SAKURA - 稲川義貴の女弟子。
坂口拓 - 稲川義貴の弟子。
搗宮姫奈 - 坂口拓の弟子。

関連用語

日本ボディーガード協会
CQB/CQC (近接戦闘)
近接格闘術
* RE:BORN (映画)

ゼロレンジコンバットは、その実戦的な技術と哲学から、軍事・特殊部隊関係者だけでなく、映画やアクションの世界にも影響を与えている格闘術です。

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