近接格闘術

近接格闘術とは

近接格闘術は、各国の軍隊や特殊部隊で訓練されている戦闘技術です。徒手による格闘だけでなく、ナイフ、銃剣、警棒、スコップ、トマホークなど、様々な武器を用いる技術が含まれます。一般的な武道や格闘技とは異なり、敵の殺傷を主な目的としており、実戦での効果を重視した技術体系となっています。

概要

近接格闘術は、主に軍人が習得する技術ですが、近年では一般人でも習得できる機会が増えています。その内容は国や組織、法治国家によって異なりますが、共通点として人体の急所を狙うなど、単純ながらも効果的な技で構成されている点が挙げられます。これは、軍隊では限られた訓練期間で隊員の戦闘能力を向上させる必要があるためです。訓練時には防具や寸止めなどを活用し、殺人術を除いた形で安全性を確保しています。

特殊部隊と一般部隊では訓練内容が異なることが多く、特殊部隊ではより高度な近接格闘術が導入されます。一方、一般部隊では基本的な技術に留まる傾向があります。また、国や組織によっては格闘訓練を実施しない部隊や兵科も存在します。例えば、アメリカ陸軍では歩兵部隊以外では格闘訓練を実施しない一方で、アメリカ海兵隊では全地上部隊で格闘訓練が実施されています。

近年では民間人向けにセミナーが開かれたり、書籍や映像などの形式で情報が公開されることもありますが、高度な技術は教えず、護身術としての内容に留まるのが一般的です。

歴史

近接格闘術の起源は、武器を用いた戦闘術と徒手による格闘術で異なります。

武器術

銃剣術: 19世紀から訓練が行われていました。軍刀（サーベル）を用いた戦闘術として、欧米ではフェンシングが、日本では伝統的な剣術をもとに制定された軍刀術が訓練されていました。軍刀が実戦目的ではなく儀仗や礼装のみに使われるようになったため、多くの国では第一次世界大戦後に軍刀術の訓練は廃止されましたが、日本では第二次世界大戦終結まで訓練が行われました。
ナイフ格闘術: 第一次世界大戦の塹壕戦で、狭い場所での白兵戦が発生した教訓から、同大戦後に生まれました。

徒手格闘術

第一次世界大戦の塹壕戦における白兵戦の教訓から、同大戦後に生まれました。当初はボクシングや柔道が中心でしたが、各国の伝統武術の技法も取り入れられました。第二次世界大戦中には、ウィリアム・E・フェアバーンによって殺傷技術として洗練され、彼の編み出した「サイレント・キリング」（無音殺傷法）は、連合国各国の軍・情報機関で指導されました。

各国の近接格闘術

以下に、各国で発展した主な近接格闘術を挙げます。

日本:
自衛隊格闘術
綜合武術格闘術
ゼロレンジコンバット
中国:
軍隊用八極拳
韓国
特攻武術
北朝鮮:
撃術
タイ:
レドリット
イスラエル:
クラヴ・マガ
カパプ
ロシア:
システマ
バエヴォエサンボ（コンバットサンボ）
軍隊式近接格闘術
アメリカ:
サイレント・キリング
Modern Army Combatives
MCMAP
イギリス:
ディフェンドゥー
サイレント・キリング
東南アジア:
* ローコンバット


これらの格闘術は、各国の軍隊や特殊部隊の特性に合わせて発展しており、独自の技術や訓練方法を有しています。

まとめ

近接格闘術は、実戦での殺傷能力を目的とした戦闘技術であり、その内容は国や組織によって大きく異なります。しかし、いずれも実戦的な状況を想定した訓練が行われており、軍事作戦において重要な役割を担っています。近年では民間人でも学ぶ機会が増えつつありますが、その内容は護身術の範囲に留まることが一般的です。

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