ゼン・アンド・ナウ (ザ・フーのアルバム)

『ゼン・アンド・ナウ』（Then and Now）は、イギリスのロックバンド、ザ・フーが2004年にリリースしたコンピレーション・アルバムです。このアルバムは、彼らの輝かしいキャリアを総括する内容となっており、往年の名曲に加えて、15年ぶりとなる待望の新曲が収録されている点が大きな特徴です。

ザ・フーの軌跡

ザ・フーは、1964年にピート・タウンゼント（ギター、ボーカル）、ロジャー・ダルトリー（リード・ボーカル）、ジョン・エントウィッスル（ベース・ギター、ボーカル）、キース・ムーン（ドラムス）という不動のメンバーで結成されました。しかし、1978年にキース・ムーンが急逝。その後、元フェイセスのケニー・ジョーンズをドラマーに迎え活動を継続しましたが、1983年に一度解散しています。

1996年、タウンゼント、ダルトリー、エントウィッスルの3人が再結集。プリンス・トラストのチャリティ・コンサートでアルバム『四重人格』を完全再現し、その後もニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで同アルバムのコンサートを複数回開催。大規模なツアーも敢行し、往年のファンを熱狂させました。

1999年には、ザック・スターキー（ドラムス）とジョン・バンドリック（キーボード）を迎え、ザ・フーを再結成。アメリカのインターネット企業が主催するイベントや、ニール・ヤング夫妻主催のチャリティ・イベントなどに出演。その後も、シカゴやロンドンでコンサートを開催し、精力的な活動を展開しました。2000年にはアメリカ・カナダ・ツアー、イギリス・ツアーを成功させています。2001年には、アメリカ同時多発テロ事件の犠牲者追悼コンサートにも参加しました。

しかし、2002年6月、アメリカ・ツアー開始直前にジョン・エントウィッスルが急逝。タウンゼントとダルトリーは、ピノ・パラディーノ（ベース・ギター）、サイモン・タウンゼント（ギター、ボーカル）、スターキー、バンドリックと共にツアーを続行しました。

『ゼン・アンド・ナウ』の内容

本作は、ザ・フーの代表的な既発曲18曲に加え、「Real Good Looking Boy」と「Old Red Wine」という2曲の新曲が収録されています。新曲の発表は、ピート・タウンゼントのソロ・アルバム『アイアン・マン』(1989年）に収録された「ディグ」以来、実に15年ぶりとなりました。

収録曲の内訳は以下の通りです。

『マイ・ジェネレーション』（1965年）から2曲
『セル・アウト』（1967年）から1曲
『トミー』（1969年）から2曲
『ライブ・アット・リーズ』（1970年）から1曲
『フーズ・ネクスト』（1971年）から2曲
『四重人格』（1973年）から2曲
『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』（1975年）から1曲
『フー・アー・ユー』（1978年）から1曲
『フェイス・ダンシズ』（1980年）から1曲
アルバム未収録曲が5曲


「Real Good Looking Boy」は、エルビス・プレスリーに捧げられた楽曲で、「好きにならずにいられない」の前奏が使用されています。レコーディングには、スターキー、バンドリック、グレッグ・レイク（ベース・ギター）、サイモン・タウンゼントが参加しています。

「Old Red Wine」は、エントウィッスルに捧げられた楽曲で、スターキー、バンドリック、パラディーノが参加。プロデューサーはサイモン・タウンゼントが務めました。

『ゼン・アンド・ナウ』は、ザ・フーの過去と現在を繋ぐ、ファン必携のアルバムと言えるでしょう。

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