ソッピース クックー

ソッピース クックー (Sopwith Cuckoo)

ソッピース クックーは、イギリスの海軍航空隊（RNAS）および空軍（RAF）において使用された、特有の複葉雷撃機です。この機体は、航空母艦からの運用を想定して設計された最初の非水上機でもあり、元々は「T.1」と名付けられていました。しかし、残念ながら、第一次世界大戦の期間中には完成せず、戦後に「クックー」と改名されました。

設計と開発

1916年の10月、イギリス海軍航空本部のマレイ・スーター代将は、単座の航空機について、1,000ポンド（450kg）の魚雷を積載し、4時間の飛行に必要な燃料を運ぶ能力を要求しました。これを受けてソッピース社は、片翼に3対の支柱を備えた大型の複葉機「T.1」を製作しました。この機体は航空母艦の甲板からの運用に必要な特性を考慮して設計され、主翼は後方に折り畳むことができ、発進も迅速に行えるものでした。

初飛行を行ったのは1917年6月で、試験は同年7月から始まり、8月には海軍本部が100機を発注しました。しかし、その後、製造を担ったフェアフィールド・エンジニアリング社とペグラー社が航空機の生産経験不足から生産が遅延し、さらに主要なエンジンの供給問題も影響し、なかなか計画が進まない事態が続きました。この問題を解決するために、エンジンが重いサンビーム・アラブに変更されました。

1918年2月にブラックバーン・エアクラフト社が生産を引き継ぎ、同年5月に最初のT.1が完成しましたが、主脚や尾部に不具合が見つかり、再設計が必要となりました。最終的に、1918年の8月に部隊への配属が開始されました。

運用歴

ソッピース クックーは実戦に投入されることはありませんでしたが、その設計の堅牢性から多くのパイロットに支持されていました。特に魚雷を搭載しない場合は、曲芸飛行も可能になるほど操縦しやすい特性を有していました。一方、サンビーム・アラブエンジンの出力が不十分であったため、約20機がウォルズリー・ヴァイパーエンジンに改装されました。この機体は後にクックーMk.IIと呼ばれるようになり、アラブエンジンを搭載した機体はクックーMk.Iに改称されました。結局、300機が発注されましたが、最終的に配備されたのは90機にとどまり、完成した機体は232機に達しました。

クックーの運用はいくつかの飛行隊の手によって行われましたが、1923年には第210飛行隊が解散し、クックーはその運用を終了しました。製造途中で完成したものはほぼすべて保管施設に送られ、現在ではスコットランドの博物館に主翼の一セットが保存されているのみです。

実戦運用計画

スーター代将が提案した運用計画では、航空母艦から発進するクックーによって、ドイツ海軍の艦隊に対して魚雷攻撃を行うことが目指されていました。一部の計画は複数の航空母艦や改装された巡洋艦から100機のクックーを発進させるものでしたが、結局のところ1918年11月に第185飛行隊が空母アーガスに搭載されることが決まったものの、実際に戦闘に入ることはありませんでした。

派生型

クックーにはいくつかの派生型が存在します。

• - クックー Mk. I: 主要な生産型で、サンビーム・アラブエンジンを搭載。
• - クックー Mk. II: Mk. Iのエンジンをウォルズリー・ヴァイパーエンジンに置き換えた型。
• - クックー Mk. III: ロールス・ロイス製の試作エンジンを搭載した型。
• - ソッピース B.1: イスパノ・スイザエンジンを搭載した単座爆撃機。2機が試作されました。

性能諸元 (Mk. I)

• - 乗員: 1名
• - 全長: 8.68 m
• - 航空機高: 3.25 m
• - 翼幅: 14.25 m
• - 空虚重量: 1,000 kg
• - 運用時重量: 1,765 kg
• - 動力: サンビーム アラブ V型8気筒、200 hp

• - 最大速度: 171 km/h
• - 航続距離: 539 km
• - 実用上昇限度: 3,690 m
• - 武装: 18インチ Mk. IX 魚雷 1基

結論

ソッピース クックーは、イギリスの軍用機の中でも特に重要な機体の一つですが、実戦にはなかなか及びませんでした。それでも、その革新的なデザインと運用可能性は、空軍の歴史において重要な役割を果たしました。

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