ソビエト連邦大統領

ソビエト連邦大統領

ソビエト連邦大統領の役職は、1990年の3月15日から1991年の12月25日まで存在し、国家元首としての使命を帯びていました。この大統領職は、ミハイル・ゴルバチョフが唯一就任したものであり、彼はソビエト連邦共産党書記長として1985年から1991年の間に強大な権限を行使していました。しかし、1991年の8月に発生したクーデターによって、彼はその役割を辞任することになりました。

大統領制の導入

大統領制が確立される以前から、ソビエト連邦の国家元首は最高会議幹部会の議長が担っており、英語では「Presidium of the Supreme Soviet」と表現されることが多く、しばしば「大統領」と称されていました。しかしこの役職は、儀礼的・象徴的な意味合いが強く、政治的な実権は主に共産党書記長が握っていました。実際、1977年にレオニード・ブレジネフ書記長が、初めて最高会議幹部会議長と党書記長を兼任して以来、これが恒例となり、次の書記長たちも同様の構造を維持していました。

1990年に、ゴルバチョフは国家機構の改革の一環として、ソビエト連邦憲法の改正を実現しました。これは第3回人民代議員大会を通じて採択され、「ソビエト連邦大統領」が新たな国家元首として別格に位置づけられました。これにより、大統領は国民による直接選挙で選出されることが規定されましたが、初代大統領の選出は特例として人民代議員大会によって行われました。結果、ゴルバチョフは2245人いる人民代議員の中から1329人（59.2%）の支持を受けて大統領に選出されました。

大統領権限の概要

ゴルバチョフが手にした大統領権限は、1977年の憲法第119条に基づくもので、最高会議幹部会の権限が継承されていました。この役職はアメリカとフランスの大統領制を組み合わせた形態を取っており、強い権限を持っていました。

副大統領の役職

ソビエト連邦の副大統領ポストは、1990年の12月に開催された第4回人民代議員大会で新たに設置されました。この役職は大統領から委任された権限を持ち、大統領が不在の際には大統領職務を一時代行することが許可されていました。初代の副大統領にはゲンナジー・ヤナーエフが選出されましたが、彼は1991年の8月に発生したクーデターにおいて国家非常事態委員会を設立し、大統領代行を宣言しました。このクーデターは外部からの支持を得ることができず、3日後に終息し、ゴルバチョフが復権しました。その結果、副大統領の役職は1991年9月の第5回人民代議員大会で廃止されました。

歴代大統領および副大統領

この短い期間において、ソビエト連邦には一人の大統領と一人の副大統領が存在しました。ゴルバチョフによる改革は、ソビエト連邦の政治に大きな影響を与えましたが、崩壊の運命を免れることはできませんでした。

関連項目

• - ソビエト連邦最高会議幹部会議長
• - ソビエト連邦の首相
• - ソビエト連邦共産党書記長

このように、ソビエト連邦大統領の役職は、ソ連の政治史における重要な転換点を象徴しており、ゴルバチョフの改革がいかにしてソビエト連邦の運命を変えたのかを示す事例とも言えるでしょう。

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