ソユーズ25号

ソユーズ25号

1977年10月、ソビエト連邦は新たな有人宇宙ミッション「ソユーズ25号」を打ち上げました。これは、わずか10日前に軌道へ投入されたばかりの最新鋭宇宙ステーション、サリュート6号への最初の訪問を目指すものでした。このミッションには、ウラジーミル・コワリョーノク船長とワレリー・リューミンフライトエンジニアの二名が搭乗しましたが、両名とも宇宙飛行は初めてでした。バックアップクルーは、ユーリ・ロマネンコとアレクサンドル・イワンチェンコが務めていました。

この飛行の最大の目的は、新しいサリュート6号ステーションへのドッキングを成功させることでした。サリュート6号は、長期滞在ミッションを可能にするため、従来型から改良され、補給船や他の宇宙船が同時に訪れることができるよう、二つのドッキングポートを備えていました。ソユーズ25号のクルーは、ステーションに約90日間滞在し、当時の宇宙滞在記録であったスカイラブ4号の84日間を塗り替えることが期待されていました。

1977年10月9日に打ち上げられたソユーズ25号は、翌日には軌道上のサリュート6号に接近しました。しかし、ステーションの前方ドッキングポートへの結合を試みましたが、成功しませんでした。クルーは地上管制センターに対し、合計4回のドッキング試みが失敗したことを報告しました。その後、宇宙船が地球を20周回した時点でステーションから一旦離れ、さらに3周回後の23周回目にもう一度ドッキングに挑戦しましたが、再び失敗に終わりました。

ソユーズ25号は予備のバッテリーが約2日分しかなく、ステーションの反対側にあるもう一つのポートへのドッキングを試みるのに十分な燃料も残されていませんでした。そのため、ミッションの続行は不可能と判断され、早期の地球への帰還が決定されました。

10月11日、ソユーズ25号は予定より早く大気圏に再突入し、カザフスタンのアスタナから北西に185km離れた地点に着陸しました。このミッションの失敗は、特に国内メディアがスプートニク1号やボストーク1号と同じ発射台を使用し、さらに十月革命60周年という節目に当たると大々的に宣伝していただけに、ソビエト連邦にとって大きな痛手となりました。

当初、ドッキング失敗の正確な原因は不明でしたが、後のソユーズ26号ミッションにおいて、クルーが船外活動を行いサリュート6号の二番目のドッキングポートを調査した結果、問題はソユーズ側のドッキング機構の不具合に起因することが明らかになりました。

このソユーズ25号の失敗から得られた教訓として、ソ連の有人宇宙飛行計画において重要なルールが制定されました。それは、今後のミッションでは乗組員の少なくとも一人は宇宙飛行経験者でなければならないというものです。この新しい規則により、ソユーズ25号のバックアップクルーであり、どちらも当時は未経験者だったユーリ・ロマネンコとアレクサンドル・イワンチェンコは、後のフライトで経験豊富なクルーメイトと共にそれぞれの初飛行を果たすことになりました。この経験者必須という規則は、1994年のソユーズTM-19ミッションまで継続されました。

ソユーズ25号のミッションパラメータは以下の通りです。

質量: 6,860 kg
近地点: 198.5 km
遠地点: 258.1 km
軌道傾斜角: 51.66°
* 周期: 88.66分

この失敗ミッションは、ソ連の宇宙開発において技術的な課題と同時に、安全と信頼性を確保するための運用の重要性を浮き彫りにする出来事となりました。技術的な不具合が、運用ルールの変更という形で後の有人宇宙飛行に大きな影響を与えた一例と言えます。

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