ソユーズ39号

ソユーズ39号（Soyuz 39）

1981年にソビエト連邦によって実行されたソユーズ39号は、軌道上の宇宙ステーション「サリュート6号」へと向かった有人宇宙飛行ミッションです。このミッションは、ソ連が友好国との宇宙協力の一環として進めた「インターコスモス計画」のもと実施され、特にモンゴル人民共和国出身の宇宙飛行士が初めて宇宙へと旅立った歴史的なフライトとなりました。

クルー

ソユーズ39号には、2名の宇宙飛行士が搭乗しました。

ウラジーミル・ジャニベコフ: コマンダーを務めました。彼にとって今回が2回目の宇宙飛行経験となりました。
ジェクテルデミット・グラグチャ: 調査・研究宇宙飛行士として搭乗しました。彼はモンゴル人として初めて宇宙空間に到達した人物であり、今回が初の宇宙飛行でした。

彼らを支援するバックアップクルーとしては、コマンダーにウラジーミル・リャホフ、調査・研究宇宙飛行士にマイダルジャヴィン・ガンゾリグ（彼もまた今回が初の宇宙飛行となる予定でした）が任命されていました。

ミッションの推移

ソユーズ39号は、1981年3月22日、協定世界時14時58分55秒に、カザフ・ソビエト社会主義共和国（現在のカザフスタン）にあるバイコヌール宇宙基地のガガーリン発射台から、ソユーズUロケットによって打ち上げられました。約1日間の軌道飛行の後、3月23日16時28分には、目標である宇宙ステーション「サリュート6号」への自動ドッキングを成功させました。当時サリュート6号には、ソユーズT-4ミッションで既に滞在していたウラジーミル・コワリョーノクとヴィクトル・サヴィヌイフ両宇宙飛行士がおり、ソユーズ39号のクルーは彼らと合流し、軌道上での共同生活および活動を開始しました。

軌道上での活動

ソユーズ39号のクルーとサリュート6号の長期滞在クルーは協力し、多岐にわたる科学実験を実施しました。特筆すべきは、宇宙線探知装置の設置と運用、宇宙空間の微小な塵がステーションの窓ガラスに与える損傷の度合いを調べる実験、そして地球科学に関する研究です。地球科学実験では、特にモンゴル人民共和国の国土を宇宙から観測し、その地理や環境に関するデータを収集しました。また、ステーション内部の空気や付着する微生物のサンプル採取といった生物学的な調査も行われました。インターコスモス計画の一環として、これらの実験にはモンゴル側の科学的関心が反映されていました。

ミッションパラメータ

ソユーズ39号宇宙船のミッションパラメータは以下の通りです。

重量: 6800 kg
軌道近地点: 197.5 km
軌道遠地点: 282.8 km
軌道傾斜角: 51.6°
* 軌道周期: 89.01 分

これらのパラメータは、サリュート6号とのランデブー軌道および地球低軌道における宇宙船の基本的な飛行特性を示しています。

帰還

サリュート6号での約1週間におよぶミッションを終え、ソユーズ39号は1981年3月30日8時15分にステーションからアンドッキングしました。その後、軌道離脱、地球大気圏への再突入という一連のプロセスを経て、同日11時40分に地上への帰還を果たしました。クルー2名は無事地球へ戻り、ミッションは成功裏に完了しました。

歴史的意義

ソユーズ39号ミッションは、ソビエト連邦のサリュート6号への15回目の有人飛行であると同時に、インターコスモス計画の下でソ連以外の国から参加した8番目のミッションとなりました。中でも、モンゴル人初の宇宙飛行士であるジェクテルデミット・グラグチャ氏の搭乗は、モンゴル共和国の宇宙開発史における画期的な出来事として記憶されています。このミッションは、宇宙開発が特定の国だけのものではなく、国際的な協力によって推進される可能性を示す重要な事例の一つとなりました。

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