ソライロアサガオ

ソライロアサガオ（Ipomoea tricolor）

ソライロアサガオは、ヒルガオ科に属する一年草で、その名の通り空色の美しい花を咲かせます。別名アメリカアサガオとも呼ばれ、園芸の世界では「西洋朝顔」として親しまれています。

形態・生態

ソライロアサガオは、アサガオとは異なる特徴をいくつか持っています。茎には毛がなく、わずかに棘がある点が特徴です。葉はサツマイモの葉に似た形をしています。また、一つの場所から5～6輪もの花を咲かせることがあります。これは、一箇所から一輪しか咲かない一般的なアサガオとの大きな違いです。花のがくは長く伸びません。

多くの園芸品種が作出されており、観賞用として広く栽培されています。代表的な品種としては、鮮やかな青色が特徴の「ヘブンリーブルー」、その早咲き改良版である「アーリーヘブンリーブルー」、薄い水色に濃い青色の筋が入る「ブルースター」、絞り模様が美しい「フライングソーサー」、そして純白の「パーリーゲート」などがあります。ピンク色の「ウェディングベル」も人気があります。

特に「ヘブンリーブルー」は、その美しい花色と育てやすさから、英国王立園芸協会のガーデン・メリット賞を受賞しています。

分布

ソライロアサガオの原産地は熱帯アメリカです。

人間との関わり

ソライロアサガオは、美しい垣根を作るために栽培されることが多いですが、繁殖力が旺盛なため、他の植物の領域に侵入してしまうことがあります。そのため、適宜剪定や間引きを行うことが大切です。種まきは、東京標準で5月上中旬が適期です。種子はアサガオと同程度の大きさで扱いやすく、栽培地に直接蒔き、5mm程度の覆土をします。痩せた土地でもよく育ちますが、肥沃な土地では葉ばかりが茂り、花が咲きにくくなる傾向があります。

ソライロアサガオの花言葉は「愛着」です。

幻覚剤としての利用

ソライロアサガオの種子、蔓、花、葉には、エルゴリンアルカロイドという成分が含まれており、幻覚作用があります。そのため、古くからメキシコの先住民族の間で幻覚剤として利用されてきました。アステカでは「tlitliltzin」と呼ばれ、ナワトル語で「黒」を意味する言葉に敬意を示す接尾辞が付いています。南米では、「badoh negro」としても知られています。

1941年にリチャード・シュルツが、アステカ時代に遡るその使用について報告し、1960年にはドン・トーメス・マクドゥーガルによって、サポテコ族が秘跡にソライロアサガオの種子を使用していることが報告されました。また、リベア・コリボサという、同様の化学組成を持つ別の植物の種子と一緒に使用されることもあったようです。

幻覚性の原因となるのは、主にリゼルグ酸アミド（エルジン）という成分です。リゼルグ酸ヒドロキシエチルやエルゴノビンも、サイケデリックなアルカロイドとして知られています。ただし、種子には吐き気を催す配糖体も含まれているため、注意が必要です。

参考文献

鈴木庸夫写真『夏の花』畔上能力ほか解説、山と溪谷社〈山溪ポケット図鑑〉、1994年、78頁。ISBN 4-635-07012-3。

関連項目

ヒルガオ科
アサガオ
天上の青

外部リンク

Ipomoea tricolor - National Center for Biotechnology Information (NCBI)
Ipomoea tricolor - Encyclopedia of Life

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