ソラリス (バス)

ソラリスの概要

ソラリス（Solaris Bus & Coach S.A.）は、バス、高速バス、トロリーバス、路面電車を製造するポーランドの大手車両メーカーです。本社はポズナン近郊のボレホヴォ・オシェドレとシロダ・ヴィエルコポルスカに位置しています。新興企業でありながら、ポーランド最大の運送車両メーカーとして、ヨーロッパでも目覚ましい成長を遂げています。この会社は、クシシュトフ・オルシェフスキ会長と妻のソランゲ・オルシェフスカ社長が夫婦で経営する同族会社です。

歴史

ソラリスの歴史は、ポーランドが共産主義体制下にあった1970年代に遡ります。エンジニアのクシシュトフ・オルシェフスキと歯科医のソランゲ・オルシェフスカ夫妻は、毎年夏にスウェーデンのストックホルムへ出稼ぎに出ていました。クシシュトフは現地の自動車修理工場で技術を習得し、1981年にはポーランドで小さな自動車修理工場を開業しました。しかし、戒厳令の布告により事業継続が困難となり、クシシュトフは西ベルリンに留まることになります。

翌年、ソランゲも西ベルリンに移住し、クシシュトフは現地のバスメーカー、ゴットロプ・アウヴェルターに技術者として就職します。その後、クシシュトフは類まれな才能を発揮し、入社からわずか3年でベルリン工場長に昇進します。1994年にポーランドへ帰国し、ゴットロプ・アウヴェルター社をワルシャワ証券取引所に上場させた後、夫妻は自己資金でネオプラン・ポーランド社を設立しました。当初はネオプランやMANのバスの輸入販売を行っていましたが、1996年にはゴットロプ・アウヴェルター社の協力のもと、路線バスのライセンス生産を開始。ポーランド国内シェアの50%を達成しました。1999年には独自開発の路線バス「ウルビーノ」を発売。2001年に社名をソラリス・バス＆コーチに変更し、2005年には株式会社へと移行しました。

ソラリスは1990年代から独自の研究所を設立し、スペースシャトル設計用のソフトウェアを導入するなど、技術開発に注力。これにより、新型車の設計期間が大幅に短縮されました。ヨーロッパ市場では後発のメーカーですが、ベルギーのコルトレイクバス・ワールド・ショーで数々の賞を受賞するなど、その技術力と革新性が評価されています。特にトロリーバス分野では、ハンガリーのガンツ社、フランスのCegelec、ポーランドのメッドコム社などの電気機器メーカーと共同で開発を進めています。

また、ソラリスはヨーロッパ初のハイブリッドバス「ソラリス・ウルビーノ18・ハイブリッド」を開発、販売しました。このモデルは、2008年にポズナンの市バスに採用されています。2008年には、ソランゲ・オルシェフスカが社長に就任しました。2007年には従業員数1200人でしたが、2009年には1600人まで増加し、年間生産台数は1000台から1200台に達しています。

製品の納入先

ソラリスのバスは、ディーゼルまたは天然ガス（CNG）方式で、フランス、デンマーク、ドイツ、ラトビア、ポーランド、ギリシャ、アラブ首長国連邦など、ヨーロッパを中心とした多くの都市に納入されています。トロリーバスは、エストニア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、イタリア、ラトビア、リトアニア、スウェーデン、スイスなどの都市で採用されています。

路面電車「トラミーノ」は、当初シュチェチン市への納入を目指しましたが、入札でペサに敗北。その後、ポズナン市からの40両の注文を獲得し、2011年から2012年にかけて納入が行われました。

製品ラインナップ

ソラリスは多様なニーズに対応するため、以下のような製品ラインナップを展開しています。

現行モデル:

アルピーノ - 市内バス
アルピーノ 8.9LE - 低床市内バス
ウルビーノ 10/12/15/18/18 ハイブリッド - 市内バス
ウルビーノ 12LE - 低床市内バス
ウルビーノ 15LE - 低床市内バス
インテルウルビーノ 12 - 都市間バス
ヴァカンザ 12/13 - 高速バス
トロリーノ 15/18 - トロリーバス
トラミーノ - 路面電車

旧モデル:

ウルビーノ 19 - 市内バス
ヴァレッタ - 市内バス

その他、ウルビーノ、ヴァカンザ、ヴァレッタ、トロリーノ、トラミーノの各シリーズを展開しています。

外部リンク

ソラリス社のウェブサイト (ポーランド語、英語、ドイツ語、ロシア語)

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