ソ朝友好協力相互援助条約

ソ朝友好協力相互援助条約

ソ朝友好協力相互援助条約は、1961年7月6日にモスクワでソビエト連邦と北朝鮮の間で締結された重要な条約です。この条約は、当時のソ連の首相ニキータ・フルシチョフと北朝鮮の金日成首相が出席して調印しました。

経緯

この条約の締結に至るまでには、いくつかの歴史的な背景が存在します。1950年代の朝鮮戦争後、北朝鮮は徐々に独自の政策を採用し、金日成に対する個人崇拝が強化されました。そして、1956年にはフルシチョフが「スターリン批判」を行ったにもかかわらず、金日成はそれを無視し、自身の権力をますます固めていくこととなります。これはソ連との関係を悪化させる要因となりました。特に、金日成派がソ連派や南労党系の勢力を粛清したことで、両国の関係は緊張を増し、対立が生じました。

しかし、1961年5月に韓国の朴正煕が軍事クーデターを起こし、反共の軍事政権を樹立すると、北朝鮮は韓国がアメリカと結託して攻撃してくる可能性を懸念し始めます。この危機感から、北朝鮮はソ連と中国に対して同盟を求める行動を取るようになりました。

ソ連の支援

朝鮮戦争中、スターリンはアメリカとの直接対立を避けようとし、北朝鮮からの軍事的支援の要請を拒否しました。しかし、中国との友好同盟に基づく協力があったため、北朝鮮は間接的に支援を受けていました。その中で成立したこの条約により、ソ連は北朝鮮への直接的な軍事支援を行うことが可能となりました。この事実は、冷戦時代の国際関係における重要な変化の一つを表しています。

その5日後、北朝鮮と中華人民共和国間でも中朝友好協力相互援助条約が締結され、中国共産党に基づく軍隊の公開支援を受けることができるようになりました。このようにして、ソ連と中国、北朝鮮の三国間での協力関係は一層強固になったと考えられました。しかし、同年10月以降、中ソ対立が顕在化したため、三国の協調は失われてしまいます。

条約のその後

冷戦が続く中、ソ朝友好協力相互援助条約は存続しましたが、1991年のソビエト連邦崩壊や冷戦の終結といった国際情勢の変化により、ロシアと北朝鮮の関係も変わることになります。その結果、この条約は1996年に破棄されることとなりました。

結論

この条約は、当初はソ連と北朝鮮の緊密な関係を示していましたが、時代の変化と共にその意味合いが変わり、最終的には影響力を失うことになりました。冷戦の動向や国際情勢は、いかに国と国の関係を変化させるのか、そしてその結果どのような形で歴史に影響を与えていくのかを考える上で重要な事例です。

参考文献

• - 下斗米伸夫『アジア冷戦史』中公新書、2004年 ISBN 4-12-101763-3

関連項目

• - 中朝友好協力相互援助条約（1961年）
• - ロ朝友好善隣協力条約（2000年）
• - ロ朝戦略的パートナーシップ条約（2024年）

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