中朝友好協力相互援助条約

中朝友好協力相互援助条約

中朝友好協力相互援助条約は、1961年に中華人民共和国と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の間で締結された軍事同盟条約です。この条約は、両国間の政治、経済、軍事における協力関係を強化することを目的としています。

歴史的背景

条約締結の背景には、1961年5月に韓国で朴正煕による軍事クーデターが発生し、軍事政権が樹立されたことがあります。北朝鮮は、米韓相互防衛条約によってアメリカと軍事同盟を結んでいる韓国が、アメリカと連携して北朝鮮を攻撃する可能性を懸念しました。そのため、北朝鮮はソビエト連邦と中華人民共和国に軍事同盟を求めました。

条約の締結

条約は1961年7月11日に北京で、中国の周恩来総理と北朝鮮の金日成首相が出席して調印されました。中国側は同年8月19日に全国人民代表大会常務委員会で批准を決定し、劉少奇国家主席が批准しました。北朝鮮側も同年8月23日に最高人民会議常任委員会で批准しました。批准書は同年9月10日に平壌で交換され、同日に発効しました。

ソ連崩壊後の状況

1991年のソビエト連邦崩壊後、ソ朝友好協力相互援助条約は失効し、中国は北朝鮮にとって唯一の軍事同盟国となりました。しかし、北朝鮮の核兵器開発問題に関して、中国政府系のメディアやシンクタンクからは、中朝軍事同盟の見直しを求める声も上がっています。また、条約はすでに形骸化しているとの見方もあります。

一方で、中国にとって本条約は、有事の際に北朝鮮を軍事占領するための口実となり得るため、依然として利用価値のあるカードであるという見方もあります。東亜日報は関係者の情報として、北朝鮮が米韓相互防衛条約にはない「自動参戦条項」の改正を提案した際も、中国はこれを受け入れなかったと報じています。

条約の更新

本条約は20年ごとに自動更新される条項があり、条約締結から60周年を迎えた2021年には3度目の更新が行われました。習近平中国共産党総書記と金正恩朝鮮労働党総書記の間で祝電が交換され、祝宴が催されました。しかし、中国外務省は2021年7月7日の定例記者会見で、本条約は長期的に有効であり、自動更新に関する報道は事実ではないと発表しました。

条約の内容

条約の主な内容は以下の通りです。

両国は、相互に軍事的脅威にさらされた場合、直ちに相互援助を行う。
両国は、相互に経済的、技術的援助を行う。
両国は、相互に文化交流を促進する。

条約の意義

中朝友好協力相互援助条約は、中国と北朝鮮の軍事同盟関係を象徴する条約です。この条約は、両国間の安全保障協力の基礎となっており、朝鮮半島の平和と安定に影響を与えています。しかし、北朝鮮の核兵器開発問題や国際情勢の変化により、条約の意義や有効性については様々な議論があります。

参考文献

中華人民共和国外交部編『中華人民共和国友好条約匯編（中、外文本）』世界知識出版社、1965年

関連項目

ソ朝友好協力相互援助条約
ロ朝戦略的パートナーシップ条約

外部リンク

条約への外部リンク'>条約全文
中国語正文への外部リンク'>中国語正文（ウィキソース）
朝鮮語正文への外部リンク'>朝鮮語正文（ウィキソース）
日本語訳文（データベース『世界と日本』）

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