タイガートラウト

タイガートラウト（虎鱒）

タイガートラウトは、ブラウントラウト（Salmo trutta）とブルックトラウト（カワマス）（Salvelinus fontinalis）の間に生まれる、生殖能力を持たない異種交配種（F1）です。その名の由来は、体に現れる明瞭な虫食い状の模様が、まるで虎の縞模様を連想させることにあります。

特徴

タイガートラウトは、染色体数が84本のカワマスと80本のブラウントラウトという、染色体数の異なる種を両親に持ちます。自然界での発生は稀ですが、人工的な養殖は比較的容易に行うことができます。その記録は1944年まで遡ることができます。

養殖方法

タイガートラウトの養殖は、カワマスの精子でブラウントラウトの卵を受精させることによって行われます。受精後、卵に熱ショックを与えることで染色体の余分なコピーが作られ、生存率が5%から85%へと飛躍的に向上します。タイガートラウトは、自然の種よりも成長が早いことが報告されており、スポーツフィッシングの対象として広く放流されています。

養殖と野生

北アメリカの多くの州では、かつてタイガートラウトの放流プログラムが存在していました。例えば、ウィスコンシン州では1970年代後半にプログラムが中止されましたが、五大湖にのみ放流が続けられました。興味深いことに、放流プログラム中止後、五大湖では20ポンドを超えるタイガートラウトの世界記録が捕獲されています。

ウィスコンシン州では現在、タイガートラウトの放流プログラムはありませんが、州内の小川で自然発生することがあります。近年、小川の水質が過去20年間で最も良好な状態にあるため、カワマスの個体数が急増しました。その結果、ブラウントラウトの産卵床の近くでカワマスが見られるようになり、自然交雑によるタイガートラウトが生まれたと考えられています。

生態

タイガートラウトは魚食性であり、雑魚の制御に役立つことが知られています。ユタ州野生生物資源課など、多くの魚の放流プログラムにおいて、タイガートラウトは雑魚の個体数を効果的に抑制するために利用されています。また、生殖能力を持たないため、タイガートラウト自身の個体数も管理しやすいという利点があります。

日本におけるタイガートラウト

日本の管理釣り場では、イワナとブラウントラウトを交配させた魚が放流されている場所があり、カワマスとブラウントラウトの交雑種と同様に、タイガートラウトとして扱われることがあります。

参考文献

杉山秀樹、『タイガートラウト出現！』 無明舎出版, 1997年12月, ISBN 978-4895441759

関連項目

スプレイク

外部リンク

Tiger Trout
NAS - Nonindigenous Aquatic Species

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