タイガーモス号

タイガーモス号

タイガーモス号（Tiger Moth）は、アニメ映画『天空の城ラピュタ』に登場する飛行船であり、ドーラ一家の母船としての役割を果たします。この飛行船は、ドーラの故夫によって設計されたもので、名称は蛾の一種であるヒトリガ（灯盗蛾）に由来しています。

船体構造

タイガーモス号は、ガス嚢を木製の骨格と外皮で覆った構造を持ち、ブリッグ級に分類されます。一部の資料では半硬式飛行船と表記されています。内部には7つのガス嚢があり、3つが損傷しても飛行を続けられる強靭さを誇ります。浮力の調整はメインローターと主翼の角度を変えることで行い、これにより垂直上昇やホバリング、高速飛行が可能です。

動力は焼玉エンジンで、広い機関室内には歯車がむき出しに配置されています。船体の後部には四重反転プロペラが設置され、高速での飛行時に役立てられます。また、船体後部には大型の垂直尾翼があり、海賊のシンボルマークである髑髏が描かれています。船体は主に木材と布で作られており、防御装備や固定武装は存在せず、主に空賊団の移動や寝食に用いられ、劇中で出会う飛行戦艦ゴリアテには逃げるしかありませんでした。

ブリッジと居住区

ブリッジは船体から渡り廊下を介して前方に伸びた位置にあり、横長の円筒形をしています。中央には進行方向に向かって円錐型のノーズコーンがあり、全体的な形状は鳥の顔に似ています。ノーズコーンの左右には透明な円形のガラスがはめ込まれており、船長は左側から、助手は右側からのぞく形になっています。中央には無線装置が設置されており、通信を傍受する役割も果たしています。

メインゴンドラは居住区で、後部の機関室とはデッキでつながっています。また、メインゴンドラの下部にはフラップター専用の格納庫があります。船内コミュニケーションは主に伝声管を使用し、内線電話はありません。部屋数は多く、ドーラとその子供たちの私室、厨房、食堂が設けられています。

夜間は見張り台での交代制見張りが行われるほか、見張り台は分離式で独立した操縦装置を持ち、万一の場合にもグライダーとして飛行が可能です。

母艦機能

船体の下部には空賊が搭乗するフラップターの専用格納庫があり、空中での発進や収容が可能です。必要な予備部品や燃料が常に準備されており、簡単な機体整備も行えます。着岸時は誘導の下でフラップターが接近し、フックでつかまれて格納庫に押し込まれます。発進時は滑らせて後ろ向きに発進します。この船には計4機のフラップターが登場します。

物語での活躍

物語の冒頭では、飛行する客船を襲撃するためにフラップターを発進させるシーンが描かれています。その後、主人公パズーがドーラ一家と共にシータを救出し、タイガーモス号に戻る直前にスラッグ渓谷上空で待機している様子が描写されます。シータが船内に迎え入れられたことで、彼女は厨房を掃除し、情報を基にドーラが進路をラピュタへと変更します。

しかし、ラピュタの近くで飛行戦艦ゴリアテの砲撃を受け、大破してしまいます。最終的に、タイガーモス号はラピュタに不時着し、軍に捕まったドーラ一家と共に瓦礫とともに海に沈んでいく運命を迎えます。パズーとシータは、見張り台の凧を使って脱出し、彼らはそこから帰路につきます。

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