タイワンホトトギス

タイワンホトトギス（台湾杜鵑草）

タイワンホトトギス（学名：Tricyrtis formosana）は、ユリ科ホトトギス属に分類される多年草です。その名の通り台湾を原産とし、日本では沖縄県の西表島に分布しています。

特徴

タイワンホトトギスは、地下茎をよく分枝させ、茎もまたよく枝分かれするのが特徴です。草丈は25cmから80cm程度まで成長します。葉は互生し、倒披針形、狭い楕円状披針形、または倒卵形をしており、長さは8cmから13cm、幅は2.5cmから4.5cm程度です。葉の先端は尖っており、基部は心形になって茎を抱き込みます。茎には斜め上に向かって伸びる毛が見られます。

花期は9月から10月にかけてで、茎の先に腺毛を持つ散房花序をつけ、数個の花を上向きに咲かせます。小花柄は1cmから6cmで、軟毛が生えているか、または無毛です。花被片は6個あり、長さは2cmから4cm、幅は4mmから11mmで、ラッパ状に開きます。花の色は白色から淡紫色で、内側には紅紫色の斑点が見られます。内花被片と外花被片がそれぞれ3個ずつあり、外花被片の方が幅広くなっています。外花被片の基部には、袋状のふくらみが2つに分かれて存在するのが特徴です。雄蕊は6個で、花糸は互いに寄り添って立ち上がり、上部で反り返って先端に葯を外向きにつけます。花柱の先は3つに分かれており、それぞれの枝の先に球状の突起があり、さらにその先端が2裂しています。花糸、花柱ともに紅紫色の斑点が見られます。

果実は披針形体の蒴果で、3つの稜があり、長さは2.5cmから3.5cm、幅は5mmから6mmです。成熟すると胞間裂開します。

分布と生育環境

タイワンホトトギスは、台湾ではごく普通に見られるホトトギス属の一種です。日本では沖縄県の西表島に分布しており、滝の水が滴るような湿った場所に生育しています。また、観賞用として栽培されることもあります。

保全状況

タイワンホトトギスは、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IA類 (CR)に指定されています。（2012年環境省レッドリスト）生育環境の悪化などにより、個体数が減少しており、保護対策が求められています。

脚注

環境省レッドリスト (2012)

参考文献

北村四郎他総監修「朝日百科『世界の植物』8」、1978年、朝日新聞社
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本I 単子葉類』、1982年、平凡社
林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
ホトトギス, 国立科学博物館
タイワンホトトギス, 筑波実験植物園
Tricyrtis formosana, Flora of China

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