タイ赤十字社

タイ赤十字社：タイの人道支援の象徴

タイ赤十字社（タイ語: สภากาชาดไทย、英語: Thai Red Cross Society）は、1893年に設立されたタイ王国の人道支援団体であり、国際赤十字赤新月社連盟の一員として活動しています。本部はバンコクのパトゥムワン区に位置し、地域社会の安全と健康を支える重要な役割を果たしています。

歴史的背景

タイ赤十字社の歴史は、1893年のメコン川左岸における泰仏戦争の発生にさかのぼります。この戦争では多くの負傷者が出ましたが、当時タイには負傷兵を専門に治療する医療機関が存在しませんでした。そこで、プリアン・パーサゴーンウォンが女性志願者と共に救護活動を始めることになりました。彼は、ラーマ5世（チュラーロンコーン王）の妃であるサワンワタナー王妃に人道支援組織設立の許可を求め、その結果、王妃の庇護の下にウナーロームデーン社が創設されました。これはタイ赤十字社の前身となります。1920年には赤十字国際委員会によって公認され、1921年に国際赤十字赤新月社連盟に加盟しました。

事務所と所在地

タイ赤十字社の事務局は、バンコクのパトゥムワン区、ラーマ4世通りのテートプラギヤット館4階に位置しています。ここでは、様々な人道活動や医療サービスが行われています。

主な業務内容

タイ赤十字社は、戦時や災害時において救援活動や公共衛生の向上に貢献するため、社内の救援・公共衛生局を通じて様々なサービスを提供しています。具体的には、以下のような医療サービス、献血活動、臓器提供、AIDSプログラム、ワクチン製造、教育活動などを行っています。

医療サービス

タイ赤十字社は、バンコクに位置するチュラーロンコーン王記念病院（1,479床）およびチョンブリー県シーラーチャー郡のサワンワタナー王妃記念病院（500床）を運営しています。また、サムットプラーカーン県にはリハビリテーションセンターもあり、長期療養が必要な方々に対して物理療法やリハビリテーションを提供しています。

献血

タイ国立血液センターは1952年に設立され、全国の147箇所の支部を通じて血液の処理と供給を行っています。献血はタイにおける赤十字活動の重要な一環を成し、多くの人々に支えられています。

臓器提供

1994年に設立されたタイ赤十字社の臓器提供センターは、タイの臓器提供に関する国家コーディネーターとしての役割を担っています。さらに、1965年から活動しているアイバンクは、角膜移植のための角膜組織を提供しています。

AIDSプログラム

AIDS研究センターでは、HIV感染検査やカウンセリングの実施だけでなく、感染予防を目的とした啓蒙活動にも注力しています。ここでは主に、HIV感染者の生活の質を向上させるための支援が行われています。

ワクチン・狂犬病予防

サオワパー王妃記念研究所では、BCGワクチンや狂犬病ワクチンなどを製造しており、一般市民にも予防接種を提供しています。この研究所にはスネークファームも併設され、一般への教育活動も行われています。

医療教育

タイ赤十字社看護大学は、看護師の専門教育を行う重要な機関です。チュラーロンコーン王記念病院は、この看護大学及びチュラーロンコーン大学医学部の研修病院として多くの医療従事者を育成しています。

児童福祉

児童ホームでは、病院に捨てられた子どもたちのケアが行われており、家族への再統合や養子先の紹介が行われています。これにより、より多くの子どもたちが温かい家庭環境で育つことができるよう支援しています。

タイ赤十字社は、医療支援だけでなく、社会的な活動を通じても人々の生活を支える重要な役割を果たしており、今後もその活動は広がっていくことでしょう。

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