タコマ (防護巡洋艦)

USSタコマ(PG-32/C-18/CL-20): アメリカ海軍防護巡洋艦

USSタコマは、アメリカ海軍に所属したデンバー級防護巡洋艦の一隻です。艦名はワシントン州タコマに由来し、同名の艦としては2隻目にあたります。本艦は1900年9月27日、カリフォルニア州メア・アイランドのユニオン鉄工所で起工、1903年6月2日に進水、そして1904年1月30日、R・F・ニコルソン海軍中佐の指揮下で就役しました。

就役後、タコマはまず艦名の由来となったワシントン州タコマを訪れ、その後ハワイへの巡航を実施。サンフランシストへの帰還を経て、ホーン岬を経由する大西洋航海に出ます。この航海の途上では、行方不明となった商船コネモーの捜索にも参加しています。ホーン岬を回り大西洋岸を巡航した後、1905年11月5日にはニューヨーク湾に到着、北大西洋艦隊に合流しました。

1905年1月にはクレブラ島沖での演習に参加した後、イスパニョーラ島へと向かい、アメリカ合衆国の権益保護のための任務に従事。続く3月27日から4月25日にかけてはフロリダ沖で砲撃訓練を実施、その後ヨーロッパ航海の準備を始めます。

1905年6月18日、タコマはフランスへ向けて出航し、同月30日にシェルブールに到着しました。ここで、乗組員の一部はパリへ移動し、ジョン・ポール・ジョーンズの遺体をアメリカに再埋葬するための記念式典に参加。その後、タコマは7月8日、遺体を護衛してアナポリスへ戻り、アメリカ海軍兵学校で執り行われた式典後、ニューヨーク州トンプキンズヴィルへと向かいました。

同年8月5日には、ニューヨークで小村寿太郎らを乗船させ、セオドア・ルーズベルト大統領の別荘、サガモア・ヒルへ送りました。小村はそこでロシアの全権大使セルゲイ・ヴィッテと会見。この会見は後にポーツマス条約締結へとつながる日露戦争和平交渉の重要な一歩となりました。タコマは8月8日にはフィラデルフィアへ帰還。ペンシルバニア州とマサチューセッツ州の海軍民兵の訓練を行い、その後カリブ海での作戦活動のため北大西洋艦隊へ再合流しました。

1906年前半の5か月間、タコマは地中海へ展開。タンジェ、アルジェ、ヴィレフランシュ、ナポリ、ジェノヴァなどを訪問した後、グラン・カナリア島へ巡航。再び地中海に戻り、アレクサンドリアとポートサイドを訪問し、6月に帰国しました。タコマの活動は、日露戦争の和平交渉への関与という重要な出来事を含む、多岐に渡るものでした。その航海記録は、アメリカ海軍史、そして日露戦争史においても重要な位置を占めています。

参考文献:
* Dictionary of American Naval Fighting Ships (アメリカ合衆国政府著作物)

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