タジク・ソビエト社会主義共和国

タジク・ソビエト社会主義共和国：建国から独立、そして内戦へ

タジク・ソビエト社会主義共和国（略称：タジク共和国）は、ソビエト連邦を構成する共和国のひとつとして、1929年から1991年まで存在しました。1929年12月5日、それまでのタジク自治ソビエト社会主義共和国から昇格する形で誕生し、1991年9月9日に独立、タジキスタン共和国となりました。本稿では、タジク・ソビエト社会主義共和国の歴史、特に建国から独立、そして独立後の内戦勃発までの過程を詳細に解説します。

建国とソ連体制下での発展

1917年のロシア革命後、タジキスタン北部では1918年3月までにソビエト政権が確立されました。赤軍はその後、白軍やバスマチ（反ソ連勢力）との戦闘を続け、1923年までにタジキスタン全土を制圧しました。ソ連は民族的自決政策の一環として、1924年10月14日、ウズベク・ソビエト社会主義共和国の構成共和国としてタジク自治ソビエト社会主義共和国を設立しました。その後、1929年12月5日、タジク・ソビエト社会主義共和国へと昇格しました。

タジク・ソビエト社会主義共和国共産党の支配

タジク・ソビエト社会主義共和国共産党は、共和国における唯一の支配政党でした。党本部は首都ドゥシャンベに置かれ、1929年の共和国の成立から1991年の独立まで、絶対的な権力を握っていました。初期の党員は、南部地方、カラテギン（パミール高原周辺）、パミール地方、クリャーブ地方からの出身者が中心でした。しかし、1937年の粛清によって、初期の革命政府を担った南部出身の党員は排除され、その後、ホジェンド（現在のフカンド）出身者が台頭し、1980年代まで権力を維持しました。

独立への道：大統領選出とソ連崩壊

1990年11月、大統領職が新設され、カハル・マフカモフが初代大統領に選出されました。しかし、1991年8月、野党はマフカモフ大統領の辞任、共産党の解散、イスラム復興党禁止法の再検討などを要求するデモを行いました。8月31日、タジク・ソビエト議会は国名を「タジキスタン共和国」に変更し、同日、最高会議の特別会議において、マフカモフ大統領に対する不信任案が可決され、大統領は退任しました。そして、1991年9月9日、タジキスタン共和国はソ連からの独立を宣言しました。11月24日にはラフモン・ナビエフが大統領に選出されましたが、この独立宣言後も、タジキスタンは政情不安定な状態が続き、1992年から1997年にかけて内戦が勃発することになります。

まとめ

タジク・ソビエト社会主義共和国は、ソ連体制下で独自の政治的、経済的発展を遂げましたが、ソ連崩壊と同時に独立を迎えました。しかし、独立後も、共産党の影響、民族対立、イスラム主義勢力の台頭など、様々な要因が複雑に絡み合い、内戦という悲劇を引き起こしました。タジキスタン共和国の歴史を理解するためには、このソ連時代の歴史を正確に理解することが不可欠です。ソ連時代の経験は、独立後のタジキスタンが抱える問題の根源を理解する上で重要な鍵となるでしょう。

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