タッグ・オブ・ウォー (曲)

タッグ・オブ・ウォー (Tug Of War)

ポール・マッカートニーによって1982年に発表された楽曲『タッグ・オブ・ウォー』は、彼のアルバム『タッグ・オブ・ウォー』の冒頭に収録されている特別なトラックです。この曲は、人生の苦難を綱引きに例え、その中での人間関係の複雑さと未来への希望を歌い上げています。

楽曲の冒頭には、イギリスのヨークシャー地方のハダースフィールドで行われた綱引き大会の決勝の音声が収録されており、実際の綱引きの臨場感を感じさせます。この効果は、曲のテーマに対する象徴的な表現として、視覚的なイメージを聴覚で再現しています。

曲の歌詞では、マッカートニーは人生の競争をそれぞれの異なる立場から捉え、「僕等はお互いを負かしてやろうと思っていたけど、手を離せば全てが滅茶苦茶になってしまう」というメッセージを通じて、人間関係の重要性や、協力の大切さを伝えています。最終的には「来るべき時代には、僕等はそれぞれ違ったドラムが打ち出すビートに乗って踊っているだろう」という希望のビジョンを描き出し、リスナーに未来への期待感を与えます。

アメリカの音楽雑誌『ローリング・ストーン』は、この曲をジョン・レノンの名曲「イマジン」と比較して称賛し、ポールの表現力の豊かさを強調しました。これは、ポール・マッカートニーが持つ重要なメッセージの一環として、彼の音楽キャリアにおけるエッセンスを体現しています。

『タッグ・オブ・ウォー』のアルバムでは、多くの楽器がポール自身によって演奏されていますが、特にギター部分ではデニー・レインとエリック・スチュワートも参加しており、曲にさらなる深みを加えています。このコラボレーションは、楽曲に独特のハーモニーを生み出し、聴衆に強い印象を与えます。

1982年9月6日には、この曲がシングルとしてリリースされましたが、B面には同アルバム収録の「ゲット・イット」が収められました。しかし、B面をアルバム未収録曲にするというポールの方針から外れていたため、シングルとしての成功は限定的でした。

さらに、ポールは『タッグ・オブ・ピース』アルバムに収められた「タッグ・オブ・ピース」というトラックでも、『タッグ・オブ・ウォー』の要素を取り入れています。このように、マッカートニーの楽曲は互いに関連しあい、彼の音楽的探求が続いていることを示しています。

『タッグ・オブ・ウォー』は、ポール・マッカートニーの揺るぎないメッセージと、彼の音楽のもつ力を再確認させる作品であり、今も多くのリスナーに愛され続けています。

もう一度検索