ハダースフィールド

ハダーズフィールド

ウェスト・ヨークシャーの中心部に位置するハダーズフィールドは、カークリーズ市内で最も大きな規模を誇るタウンです。古くからマーケットタウンとして発展し、特に産業革命期にはイギリス経済において重要な役割を果たしました。この街はまた、世界的に見ても優れた毛織物の産地の一つとしても知られています。さらに、近代ラグビーリーグが誕生した地であり、サッカークラブも歴史的な偉業を達成するなど、スポーツの分野でも特筆すべき歴史を持っています。

歴史

ハダーズフィールドとその周辺地域には、極めて長い居住の歴史があります。紀元前2000年頃、今から4000年以上前には既に人々が定住していた痕跡が見られます。また、かつてローマ帝国の支配下にあった時代もあり、18世紀中頃には街の西部からローマ時代の城壁の一部と推定される遺構が発掘されています。これにより、古代からの人々の営みがこの地に根ざしていたことがうかがえます。

産業と経済

歴史的に、ハダーズフィールドは繊維産業、特に毛織物の生産で栄えました。産業革命期には、機械化された織物産業の中心地の一つとなり、イギリスの工業化を支えました。現在でも、その高品質な毛織物は世界的に評価されており、世界三大毛織物産地の一つに数えられています。マーケットタウンとしての機能も維持されており、商業の中心地としての役割も担っています。

スポーツの街

ハダーズフィールドはスポーツ、特にフットボール競技が非常に盛んな街です。中でもサッカーとラグビーリーグは、市民の大きな関心を集める主要な観戦スポーツとなっています。

ラグビーリーグの発祥

この街の最も特徴的な歴史の一つが、近代ラグビーリーグが誕生した場所であるという点です。ラグビーフットボール自体は1848年には既にこの街でプレーされていました。1864年に設立されたハダーズフィールド・アスレティック・クラブ（現在のハダーズフィールド・ジャイアンツの直接の前身）は、1866年に初めてラグビーの試合を行っています。

そして、1895年8月29日という歴史的な日、ハダーズフィールド市内のジョージホテルにイングランド北部の22の主要なラグビークラブの代表者が集まりました。彼らは、選手への金銭的な補償（当時はアマチュアリズムが原則だったラグビー・フットボール・ユニオン、RFUが認めなかった）を巡る意見の相違から、RFUからの分離を決議しました。この会議で「ノーザン・ラグビー・フットボール・ユニオン」が設立され、これが後にラグビー・フットボール・リーグと改称され、現在のラグビーリーグという競技が誕生する契機となりました。この歴史的な出来事の舞台となったジョージホテルの地下には、現在、ラグビーリーグの豊かな歴史を伝える遺産センターが設置されています。

ハダーズフィールドは、この競技の誕生の地として、現在もヨーロッパのトップディビジョンであるスーパーリーグに所属するプロラグビーリーグクラブ、ハダーズフィールド・ジャイアンツの本拠地となっています。

サッカー

サッカーもこの街で非常に人気のあるスポーツです。1908年に創設されたプロサッカークラブ、ハダースフィールド・タウンFCは、イングランドサッカー史において重要な足跡を残しています。彼らは1926年に、イングランドのサッカーリーグ史上初めてリーグ戦三連覇という偉業を達成しました。この記録は、設立から現在に至るまでの長い歴史の中で、わずか4クラブしか達成していない極めて困難な功績です。近年では、2017-18シーズンと2018-19シーズンにイングランド最高峰のプレミアリーグでプレーするなど、国内トップレベルでの経験も持っています。2024-25シーズンはEFLリーグ1（実質3部）に所属しています。

その他のスポーツ

ラグビーユニオンも行われており、ハダーズフィールドRUFCやハダーズフィールドY.M.C.A. RUFCといったクラブが国内リーグの下部ディビジョンで活動しています。さらに、2008年にはオーストラリアンフットボールのクラブ、ハダーズフィールド・ラムズも設立されており、多様なスポーツ文化が根付いています。

主な出身人物

ハダーズフィールドは、様々な分野で活躍する多くの著名人を輩出しています。

ハロルド・ウィルソン - 政治家（元イギリス首相）
キャメロン・ジェローム - サッカー選手
フレイザー・キャンベル - サッカー選手
ジョナサン・ステッド - サッカー選手
ウォルター・パラット - 作曲家、ピアニスト
ハワード・ライリー - ピアニスト、作曲家