タテスジトラザメ

タテスジトラザメ (Poroderma africanum)

タテスジトラザメはトラザメ科に属するサメの一種で、主に南アフリカの沿岸に見られる固有種です。水深100mまでの環境で見られ、特に岩礁や藻場に生息しています。この種は太い縦のストライプが特徴で、簡単に識別することが可能です。

分類

タテスジトラザメは1789年にドイツの博物学者ヨハン・フリードリヒ・グメリンによって「Squalus africanus」として初めて記載され、その後1837年にスコットランドの動物学者アンドリュー・スミスが新属「Poroderma」を設立し、本種を含めました。1908年には、この属のタイプ種とされています。

分布

このサメは南アフリカの温帯沿岸に広く分布しており、特に西ケープ州で最も個体数が多いとされています。ケープタウンのテーブル湾からイースト・ロンドンの北にかけてが生息域であり、東はサルダーニャ湾、西はクワズール・ナタール州の范围に及ぶことがあります。古い記録に見られるモーリシャスやマダガスカルからのものは誤認識と考えられています。

形態

タテスジトラザメの体型はヒョウモントラザメより大きく、最大で1.1mまで成長し、7.9kg以上の重さになります。特徴的な点として、頭部が短く、上から見ると放物線を描く形状をしています。鼻孔は三葉の前鼻弁によって分かれ、前鼻弁の中央には細長い円錐形の髭があります。目は楕円形で、頭部上方に配置され、口は幅広い弧を描いています。口腔内は片側に18から25本の上顎の歯と14から24本の下顎の歯を有します。

体色は暗い縦縞が走り、地色は灰色または褐色です。これにより捕食者から身を隠す際に効果的です。特に幼体は縞模様が淡く見えることもあり、成体に成長する過程で色合いが変化します。

生態

タテスジトラザメは夜行性で、日中は隠れ場所で静かに過ごし、夜になると活発に餌を求めます。特に夏季には群れを作り、効率的に捕食を行います。主な餌は小型の魚類や無脊椎動物で、特に頭足類を好みます。時折、エビスザメのような大型の捕食者に狙われることもあります。

繁殖

このサメは卵生であり、繁殖シーズンには雌が片方の卵巣にある成熟卵を産みます。卵殻は暗褐色で頑丈で、特に海藻の茎などに巻き付けて留まります。孵化は約5ヶ月要します。

人との関わり

タテスジトラザメは南アフリカでのトラザメ類の中で最も一般的な存在ですが、人に対しては無害です。水族館などで人気を博し、観賞用のための漁業も行われています。商業漁業では混獲されることがありますが、個体数の減少が証明されたわけではなく、IUCNによる保全状況は準絶滅危惧とされています。特定の保護活動は行われていませんが、南アフリカの海洋保護区の一部に生息しています。

タテスジトラザメの生態や環境についての理解を深めることは、今後の保護活動の鍵となるでしょう。

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