エビスザメ

エビスザメ（恵比寿鮫）

エビスザメは、学名でNotorynchus cepedianusと呼ばれるサメで、軟骨魚綱カグラザメ目カグラザメ科に属する唯一の現生種です。その特徴的な外見から、口角が上がっている姿が「えびす顔」と称されることがあります。エビスザメは、通常のサメが5対の鰓裂を持つのに対し、7対の鰓裂を持つ点が特筆されます。これは、エドアブラザメとともに、カグラザメ科において唯一の特徴です。

分布

エビスザメは、インド洋、大西洋、太平洋といった温暖な海域に広く分布しており、そのサイズは全長3メートルに達します。特に雄は約1.5メートル、雌は2.2メートルほどで成熟します。彼らは、深さ150メートル以内の水域を好み、浅い湾やサンゴ礁の周辺で生活しています。

形態・生態

エビスザメの体型は流線型に近い円筒形をしており、背中の色は暗褐色から黒色、または灰色で、腹部は白色です。体には多くの黒や白の斑点が散在しており、背鰭は後方に1基のみといった特徴があります。この種は、化石種とも似た特徴を持ち、古いタイプのサメであることが示唆されています。

エビスザメは社会的な動物であり、群れを作って狩りを行うことが知られています。仲間と共にアザラシやイルカ、他のサメを追い詰め、共同で捕食する様子は、古代のサメたちも同様に行っていたと考えられています。

人間との関係

エビスザメは、肉が食用にされることや、肝油、皮革といった資源として利用されることもあります。また、国際的な水族館で飼育されることもあり、日本では北海道の標津町沖で捕獲された個体がまずは標津サーモン科学館で展示され、その後アクアマリンふくしまへと移されました。

エビスザメの漁業に関しては、専用の漁業が行われることは少なく、混獲もまれですが、彼らが生息する地域の漁業活動が盛んなことから、個体数が減少していると考えられています。特に、太平洋北西部では、漁獲量が1950年代と比べて激減しており、エビスザメもその影響を受けていると見られます。また、沿岸開発などの環境変化の影響も懸念されています。

先述のように、エビスザメは環境省のレッドリストで「情報不足（DD）」とされており、その保護状況は不透明です。持続可能な漁業の実施や生息環境の保護が求められています。

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