タナ川 (ノルウェー)

タナ川（ノルウェー語: Tanaelva、フィンランド語: Teno）は、ノルウェーのフィンマルク県とフィンランドのラッピ州に跨る、全長330kmの雄大な河川です。川の名前は国境によって異なり、ノルウェーではタナ川、フィンランドではテノ川と呼ばれています。

この地域には古くからサーミ人が暮らしており、「サーミ」という言葉自体が「大きな川」を意味するという説もあります。タナ川は、サーミ人にとって生活や文化に深く根ざした存在と言えるでしょう。主な支流としては、アナリョーカ川（フィンランド名：イナリ川）やカラショフカ川などが挙げられます。

タナ川は上流部256kmにわたって、フィンランドのウツヨキとノルウェーのカラショーク、タナの国境を流れ、両国を隔てる役割も担っています。ノルウェーにおいては、水量の多さで3番目に大きな川として知られています。

特に有名なのは、フィンランドとノルウェー両国にとって重要なサケの漁場であることです。1929年には、ニルス・マティス・ワレによって36kgもの巨大なタイセイヨウサケが釣り上げられ、世界記録として認定されました。この記録は、タナ川の豊かな自然環境と、サケの資源が豊富であることを物語っています。

冬の期間、具体的には12月から4月にかけては、タナ川に2本のアイスロードが出現します。これは凍結した川面を道路として利用するもので、地域住民の生活を支える重要な交通手段となっています。ただし、重量制限が2トンに設定されているなど、利用にはいくつかの制限があります。

タナ川には、人々の生活を支えるための橋も架けられています。1948年には全長195mのタナ橋が、そして1993年にはウツヨキにサーミ橋がそれぞれ完成しました。これらの橋は、川を挟んだ地域間の交流を促進し、経済活動を支える役割を果たしています。

タナ川は最終的にタナフィヨルドへと注ぎ込みますが、その河口はヨーロッパでも最大級の三角州を形成しています。この三角州は、多様な生態系を育む貴重な場所であり、カワアイサの生息地やアザラシの繁殖地としても知られています。その重要性から、2002年にはラムサール条約登録地として登録され、国際的に保護されています。

タナ川は、豊かな自然、人々の生活、そして文化が織りなす、かけがえのない存在と言えるでしょう。

外部リンク

* Tanamunningen | Ramsar

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