タブク狙撃銃

タブク狙撃銃

タブク狙撃銃は、イラクで設計されたマークスマンライフルです。カディシヤ県タブクの工場で、ザスタバ・アームズから売却された生産設備を用いて製造されました。同工場で生産されたザスタバM70突撃銃などの小銃は、区別なくタブクと総称されることもありました。

背景

タブク狙撃銃の開発に先立ち、ザスタバ・アームズではM70突撃銃の派生型としてM76狙撃銃を開発していました。M70突撃銃シリーズは、RPK型と呼ばれる大型の機関部を備えており、通常のAK型機関部よりも強度が高められていました。M72機関銃はM70を長銃身化したもので、タブク狙撃銃の直接の原型となりました。

イラク製のタブク狙撃銃の銃身は21.4インチ程度で、ロシア製RPKやユーゴスラビア製M72（24.5インチ）より若干短いものの、AKMやM70（16.25インチ）よりは長くなっています。銃口には14x1mm左ネジが切られており、ソ連製の消炎器や消音器などのマズルアタッチメントを装着可能です。

設計

タブク狙撃銃とM72の相違点はわずかです。外見上の明確な差はほとんどなく、半自動専用の内部機構が最も大きな違いです。この機構により、精密射撃に特化し、フルオート射撃を廃止することで銃身の寿命と精度を維持しています。

外見上の大きな違いは、タブク狙撃銃に取り付けられた軽量な銃身です。M72は冷却効率を高めるために銃身が重くなっていますが、タブク狙撃銃はフルオート射撃を行わないため、軽量化が可能になっています。東側の狙撃銃では精密射撃用重銃身は一般的ではなく、SVD狙撃銃やPSL狙撃銃にも同様の特徴が見られます。

その他にも、光学照準器の取付箇所、チークピース、スケルトン・ストック型銃床などがM72との違いとして挙げられます。また、M72は標準的に二脚を備えていますが、タブク狙撃銃にはありません。これは軽量化のためです。

タブク狙撃銃は、精度を高め、光学照準器を取り付けたM72と見なすことができます。使用する弾丸はM72と同様のソ連製M43実包（7.62x39mm弾）で、弾倉はAKMのものと互換性があります。

M43実包を使用するタブク狙撃銃の有効射程は600m程度であり、西側の基準では狙撃銃ではなくマークスマンライフルとして扱われます。有効射程内であればPSLやSVDと同程度に活用できますが、M43実包の弾道が比較的低速かつ安定しているため、より高速なSVDやPSLの7.62x54mmR弾に比べると、600m以上の距離での殺傷能力は劣るとされています。

脚注

外部リンク

Tabuk sniper rifle at Dragunov.net

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