7.62x39mm弾

7.62x39mm弾：世界で最も普及した中間弾薬

7.62x39mm弾は、第二次世界大戦中にソビエト連邦で開発された小銃弾であり、中間弾薬としての性格を持つ短小弾です。ソ連軍での制式名称は「1943年式7.62mm弾」であり、世界中で広く使用されています。

概要

この弾薬を使用する最も有名な銃器は、AK-47アサルトライフルです。戦後すぐに開発され、ソビエト連邦では1970年代まで標準的な銃弾として広く普及しました。現在でも、軍用から狩猟用まで、世界中で幅広く利用されています。

開発の背景には、ドイツ軍の短小弾である7.92x33mm弾の影響があります。この弾薬は、自動小銃でフルオート射撃を行う際の反動を抑えつつ、300m以内の目標を正確に狙える性能を持っています。

ミリメートルでの呼称は7.62mmですが、これは30口径に相当します。しかし、西側諸国の.308winや30-06などの30口径弾が弾頭径0.308インチであるのに対し、7.62x39mm弾は0.312インチと若干大きい弾頭径を持っています。

弾頭は舟形（boat-tail）をしており、弾芯は鉄製で、その周りを鉛が覆い、さらに銅ジャケットで覆われています。鉄製弾芯を使用しているため、徹甲弾と誤解されることがありますが、これは鉛の使用量を減らすことが主な目的です。しかし、実際には、カービン弾でありながら、フルサイズ小銃弾である7.62x51mm NATO弾に匹敵するほどの貫通力があります。そのため、ボディアーマーを着用した相手にも有効です。

薬莢は、共産圏でよく使用されるベルダンプライマーを使用し、鉄製です。円錐形状にテーパーがつけられており、薬室との摩擦を減らし、装填・抽筒を容易にすることで、AK-47の高い信頼性に貢献しています。AK-47の弾倉が「バナナマガジン」と呼ばれるほど湾曲しているのは、この強いテーパーが原因です。弾頭の形状は改良されたことがありますが、薬莢は開発当初からほとんど変更されていません。鉄薬莢は真鍮製に比べて安価ですが、錆びやすいため、ラッカー塗料で防錆処理を施し、缶詰に密閉して出荷されることが一般的です。

7.62x39mm弾の後継として、5.45x39mm弾が開発されました。物理的な威力は7.62mm弾に劣りますが、小口径であるため銃口初速が速く、より長射程となっています。また、弾頭重量が軽いため反動も小さく、フルオート射撃が容易になりました。これは、米軍が使用弾薬を7.62x51mm NATO弾から5.56x45mm NATO弾に変更したことに対応したものです。しかし、7.62x39mm弾は、フルオート射撃を困難にするほど反動が大きすぎるわけではなく、携行弾数における重量やサイズも小さかったため、主力弾薬の供給体制を切り替える必要性を認めない国も多くありました。また、ボディアーマーが普及し、小口径高速弾の威力不足が問題視されるようになったこともあり、7.62x39mm弾は5.45mm弾と並行して配備が続けられています。

7mm以上のライフル実包の中では比較的反動が少ないため、狩猟における半矢を減らすために小口径弾の使用が規制されている地域で、狩猟にも利用されています。弾道特性は、アメリカの伝統的な狩猟用実包である.30-30 Winchesterに近く、長距離精密射撃には不向きですが、300m以内での中型動物の狩猟に適しています。

北米での民生利用が広がるにつれて、ウィンチェスター、レミントン、ホーナディなどの大手弾薬メーカーが、高精度な7.62x39mm狩猟用実包を製造・販売しています。民生向けの実包は、旧共産圏諸国製の軍用実包とは異なり、真鍮薬莢を使用しているため、ハンドロード（手詰め）に再利用することも可能です。

民生用ライフルとしては、軍用自動小銃を転用したSKS、アサルトウェポンの構造を排除したヴァルメハンターやモロトハンター、Sig MCX-Regulator、半自動のスターム・ルガーMini30、ボルトアクションの豊和M1500、CZ 527とその後のモデルであるCZ 600、Ruger American Rifleなどが挙げられます。

歴史

1942年、ソビエト連邦において、新型自動火器のコンセプトが発表されました。この新型火器は、小型軽量で戦場での活動を容易にし、短機関銃よりも射程が長く、短・中距離での戦闘に十分な性能を備えることが求められました。しかし、戦時下で新型弾薬を設計する余裕はなく、既存の拳銃弾である7.62x25mmトカレフ弾を使用することになりました。

その後、トカレフ弾を使用する軽機関銃の開発が試みられましたが、短機関銃は射撃距離が200mを超えると精度が著しく低下するのに対し、軽機関銃は重い銃身や二脚などにより、同じ弾薬でも長射程が期待できると考えられたからです。しかし、ドイツ製突撃銃の影響を受け、1943年10月に開発は中止されました。

1942年末に鹵獲されたドイツ製突撃銃MKb.42(H)は、ソ連の銃器設計者らに、銃そのものよりも、7.92x33mm弾に注目させました。当局は、同等の新型弾（中間弾薬）と、それを用いる火器の開発を急ぐこととなりました。1943年8月、砲兵総局は新型弾を用いる汎用火器システム（自動カービン、自動小銃、軽機関銃を兼ねる火器）の設計要件を示しました。しかし、この時点では、使用する新型弾薬は存在していませんでした。そのため、銃と並行して弾薬の開発が行われることとなり、プロジェクトは複雑化しました。

設計要件は以下の通りです。

二脚、銃剣、弾倉、負い紐、その他の付属品を含めた総重量は5kg以下。
銃剣を除く全長は900～1000mm。
着剣時の全長は1200～1300mm。
少なくとも30連発の容量を持つ弾倉からの給弾。
最大射程は1,000mで、50mごとに切り替え可能な照準器。
単発射撃精度は7.62mm M1891/30小銃と同等以上。
連発射撃精度はDP軽機関銃と同等以上。
射撃速度は600発/分以下、バースト射撃は80発/分以上、単発射撃は35発/分以上。
* 火器の寿命は20,000発以上。

1943年7月から設計が始まった新型弾薬は、同年9月に1943年式7.62mm弾（M43弾）として採用されました。以降、この弾薬を用いて新型火器の開発が進められました。

価格

7.62x39mm弾は、センターファイヤーライフル弾としては非常に安価で、長年最安の部類に属していました。2006年初頭に軍用の7.62x39mm弾の値段が上昇するまでは、一発10セント程度でした。この価格は驚異的で、拳銃弾や22ロングライフル弾よりも安い場合がありました。しかし、近年、アメリカの市場価格は2倍近くに高騰しており、これはアフガニスタンやイラクの軍隊をアメリカが再建支援しているため、大量の7.62x39mm弾が発注されたことによります。しかし、2007年の時点でも、アメリカ市場において最も安いライフル弾であることに変わりはありません。

形状

[ここに7.62x39mm弾の図や写真を挿入]

脚注

[必要に応じて脚注を追加]

外部リンク

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