タム・ペイトン

トマス・ダグラス・“タム”・ペイトン（1938年8月5日 - 2009年4月8日）は、スコットランド出身のポップ・グループのマネージャーであり、特に1970年代に一世を風靡したベイ・シティ・ローラーズのマネージャーとしてその名を知られています。

生い立ちとベイ・シティ・ローラーズ

ジャガイモ商人の息子として生まれたペイトンは、ベイ・シティ・ローラーズを1970年代半ばの成功期に導き、「隣の男の子たち」という親しみやすいイメージを確立しました。彼は、メンバーが酒ではなく牛乳を好むといったイメージを作り上げ、クリーンで無邪気な印象を世間に与えました。

しかし、ボーカリストのレスリー・マッコーエンは後に、ペイトンがバンドのメンバーに薬物を常用させていたと告白しています。「僕たちが少し疲れていると、アンフェタミンを与えられた」と語り、2005年のインタビューでは、「眠らせないためにスピードやブラック・ボンバーを飲まされた。最後には、どれだけ馬鹿げた薬を飲んでいるかを互いに自慢し合うような状態だった」と述べています。華やかな成功の裏で、メンバーたちは薬物に苦しんでいたのです。

ロゼッタ・ストーンのマネージメントと性的虐待事件

1970年代後半には、ロゼッタ・ストーンのマネージャーも務めました。そのギタリスト、ポール・ラーウィル（後のグレゴリー・グレイ）とは恋愛関係にありました。

1982年、ペイトンは16歳と17歳の少年2人に対する性的犯罪で有罪判決を受け、3年の懲役刑を宣告されました。当時、ゲイの性行為における同意年齢は、異性愛の性行為の場合よりも高く設定されていました。この不平等は2001年まで解消されませんでした。

後年と晩年

晩年のペイトンは健康を害し、2度の心筋梗塞と脳卒中を経験しました。2003年1月には児童性的虐待の疑いで逮捕されましたが、この容疑は後に晴れています。しかし、2004年4月には大麻を提供した罪で20万ポンドの罰金が科せられました。さらに、2003年には1977年にホテルでベイ・シティ・ローラーズのギタリストだったパット・マッグリンを強姦しようとしたとして告発されましたが、警察は証拠不十分として起訴を見送りました。

2009年4月8日、ペイトンはエディンバラの自宅で、おそらく心筋梗塞により70歳で亡くなりました。亡くなる時の体重は約159kgだったとされています。彼はゲイであることを公言していました。

ベイ・シティ・ローラーズをスターダムに押し上げた手腕、薬物スキャンダル、性的虐待事件、そして晩年の苦難。トマス・ダグラス・“タム”・ペイトンの人生は、光と影が交錯する、波乱に満ちたものでした。

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