タラルルス

タラルルス：モンゴルに生息した重装甲の恐竜

タラルルスは、白亜紀後期に現在のモンゴル、ゴビ砂漠に生息していたアンキロサウルス科の恐竜です。その名前は「籐籠の尾」を意味し、特徴的な尾の形状に由来します。1952年にエフゲニー・マレーエフによって命名され、アンキロサウルス類の中でも比較的初期の種として知られています。

発見と生息環境

タラルルスの化石は、ゴビ砂漠南部のバインシレ層から発見されました。この地層は約9500万年前から8800万年前の白亜紀後期に形成されたと考えられており、当時この地域は氾濫原の低地であったと推測されています。これまでに5個体以上の標本が発見されており、その中には不完全な頭骨やほぼ完全な骨格、多数の皮骨が含まれています。これらの化石は、タラルルスがこの地域で繁栄していたことを示しています。

形態と特徴

タラルルスの頭骨は長さ約24cm、幅約22cmと比較的大きく、体長は4mから6mと推定されています。体重は約5トンと推定され、四肢の上にその重い体を支えていたと考えられます。タラルルスの特徴としては、以下のような点が挙げられます。

重い装甲： 体全体を覆うように、骨質の板や棘状の突起（皮骨）が並んでおり、捕食者から身を守るための鎧の役割を果たしていました。
尾の瘤： 尾の先端には大きな骨質の瘤があり、これを武器として使用していた可能性があります。
横に広い胴椎： 下突起が横に広い胴椎を持っていました。
縦溝の装飾のある皮骨： 独特の模様が刻まれた皮骨を持っていました。

系統と進化

タラルルスは、アンキロサウルス科の中でもアジアに限定されるクレードに属しています。Vickaryousらの研究（2004）によれば、このクレードの中で最も古いメンバーであると考えられており、アジアにおけるアンキロサウルス類の進化を研究する上で重要な存在です。北米のアンキロサウルス類とは異なる進化の道を辿ったと考えられています。

大衆文化におけるタラルルス

タラルルスは、ディズニーのCGアニメ映画「ダイナソー」の冒頭にわずかに登場しています。

参考文献

Maleev, Evgeny A. (1952). “Noviy ankilosavr is verchnego mela Mongolii [A new ankylosaur from the Upper Cretaceous of Mongolia]”. w:Doklady Akademii Nauk SSSR 87 (2): 273–276.
Maryanska, 1977. Ankylosauridae (Dinosauria) from Mongolia. Palaeontol. Polonica 37:85-151.
Tumanova, T. A. 1999. Armoured dinosaurs from the Cretaceous of Mongolia. In: Benton, M. J., Shishkin, M. A., Unwin, D. M., and Kurochkin, E. N. The Age of Dinosaurs in Russia and Mongolia. Cambridge University Press, Cambridge:517-532.
Vickaryous, Maryanska, and Weishampel 2004. Chapter Seventeen: Ankylosauria. in The Dinosauria (2nd edition), Weishampel, D. B., Dodson, P., and Osmólska, H., editors. University of California Press.

もう一度検索