タリン市電

タリン市電

タリン市電（エストニア語: Tallinna trammiliiklus）は、エストニアの首都タリンで運行されている唯一の路面電車です。この市電は、タリン市交通会社によって運営され、タリンのバスおよびトロリーバスと連携し、都市の公共交通機関を支えています。軌間は1,067 mmという狭軌です。

歴史

タリン市電の起源は1888年にさかのぼり、当初は馬車鉄道として営業を開始しました。1902年には7.24 kmの路線網が整備され、1917年には37両の馬車が稼働していました。その後、1915年にはスチームトラムを用いた広軌の路面鉄道が開通し、1918年には第一次世界大戦の影響で馬車鉄道が運休するものの、その後も交通手段として利用されました。1921年にはガソリンエンジンを使用した気動車による運行が再開されました。

本格的な電化は1925年のことで、タリンの主要なナーヴァ通りを走る路線が直流600 Vに電化されました。1931年にはコプリ地区への電化改軌が行われ、多くの路線が整備されていきましたが、第二次世界大戦中にはソビエト空軍の空襲によって路面電車も被害を受けました。

戦後は復旧が進み、各路線の延伸や電化が進められ、現在のタリン市電の路線網が形成されました。1960年代から1980年代にかけては新型車両が投入され、運行の効率化が図られました。

運行体系

2023年現在、タリン市電では5系統が運行しており、多数の系統が走るVinneri - Hobujaama間では、ラッシュ時に2分間隔で運転されています。運賃はエストニア国民に対しては無料化されており、外国人旅行者には運賃が必要ですが、スマートカードやタリンカードを利用することで割引が受けられます。

また、タリン市電では信用乗車方式が導入されており、乗車券の購入や刻印は乗客自身が行う必要があります。運賃不正使用が発覚した場合、罰金が科せられることもあります。

車両

タリン市電の現有車両は、タトラKT4や超低床電車のウルボスAXLなど、多様な形式が揃っています。タトラKT4は1980年代から90年代にかけて導入された連接車両で、最近では一部が部分超低床化されています。ウルボスAXLは、超低床設計により、効率的な運行が可能です。さらに、ポーランドのPESAによる新型電車ツイストも導入される予定です。

今後の展望

タリン市交通会社は、新たな路面電車路線の建設を進めています。2024年にはタリン旅客港行きの新しいルートが開通予定であり、さらなる路線網の延伸やバリアフリー化が計画されています。新型超低床電車の導入も進められ、今後のさらなる発展が期待されます。タリン市電は、エストニアの交通の要として、今後も多くの市民や観光客に利用され続けることでしょう。

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