タルタロス

タルタロス（古希: Τάρταρος）は、ギリシャ神話において非常に重要な役割を果たした神であり、奈落そのものを象徴する存在です。冥界の下層に位置し、神々ですら恐れる空間とされています。本記事では、タルタロスの概要やその歴史的な役割、そこに幽閉された者たちについて詳述します。

概要

タルタロスは原初の神々の一柱で、混沌（カオス）の次に誕生しました。兄妹関係にある地母神ガイアと結婚し、彼らの間には凶悪な怪物であるテューポーンとエキドナが生まれました。タルタロスの所在地は、地面の下に広がる暗い空間であり、その深さは地球の表面と天の間の距離と同じだけの高さを持つとされています。これは、非常に象徴的な表現であり、サイクロンのような果てしない深淵を示唆しています。

タルタロスの様子

この場所は常に静寂と霧が漂い、神々でも近づきがたい神秘的な空間です。また、ポセイドーンによって造られた青銅の門があり、青銅の壁で囲まれたこの門からは何ものも逃れることができないのです。門を通過した人間は、タルタロスの底にたどり着くまでに一年以上もかかると言われていますが、途中で神々が怖れるほどの猛烈な暴風にさらされるため、ほぼ確実に存命ではいられません。

タルタロスの歴史

古代、ウーラノスやクロノスは、この場所を使用してヘカトンケイル族やキュクロープス族を閉じ込めていましたが、その後、ゼウスがこれらの者たちを解放しました。さらに、ティーターン族が打ち倒された後、この場所に幽閉されることになったのです。

このように、タルタロスは多くの神々や怪物が囚われる場所としての役割を果たしました。後にプラトンはタルタロスを地獄の象徴として扱い、新約聖書でも名前が言及されるなど、その地位は時代を超えて評価されています。

幽閉された者たち

タルタロスには多くの罪深い者たちが幽閉されていました。以下はその一部です：

- ヘカトンケイル族：後に解放される。
- キュクロープス族：後に解放される。
- ティーターン族：主要な罪により幽閉。
- テューポーン：恐ろしい存在として一説に落とされた。
- ティテュオス：女神レートーに対する犯罪により、過酷な罰が与えられました。
- タンタロス：神々の食物を横領した結果、永遠に絶え間ない渇きを味わうことになります。
- シーシュポス：死者の神々を騙し続けた報いとして、大岩を山の上まで運ぶ罰が課せられました。
- イクシーオーン：ヘーラーを誘惑したため、永遠に火焔車の刑に服します。
- ダナイデス：夫を殺した罪で、水が漏れる壺で水を汲む罰を受けました。

結論

タルタロスは、ただの牢獄ではなく、罪への厳しい裁きと、それに伴う恐怖を象徴している神話的存在です。多くの神話の中で、善と悪、光と闇が対比されて描かれ、タルタロスは悪の象徴として神々の視界から遠ざけられる存在となっています。

もう一度検索