タワン・ボグド

タワン・ボグドは、モンゴルの西部に位置し、中国とロシアとの国境が接する地点にそびえる連山です。この山脈は、その壮大な景観と豊かな自然によって知られています。最高峰であるフィティン山（標高4374メートル）は、モンゴルの最高地点であり、その頂は常に雪に覆われています。

山頂

タワン・ボグドは、フィティン山を含め、5つの主要な山頂から構成されています。モンゴル語で「5人の聖人」を意味するこの山脈は、その名にふさわしい神聖な雰囲気を醸し出しています。他の山頂には、ナイラムダル山、マルチン山、ブルゲド山、ウルギー山があります。

国境

タワン・ボグドは、モンゴル、中国、ロシアの3か国が接する国境地帯に位置しています。この三国国境地点は、北緯49度10分13.5秒、東経87度48分56.3秒に位置する標高4081メートルまたは4104メートルの峰であり、「タワン・ボグド峰」または「奎屯山」と呼ばれています。しかし、この地点は常に雪に覆われており、到達が非常に困難なため、関係する3か国は国境標識を設置しないことで合意しています。一部の情報源では、この三国国境地点を「ナイラムダル山」と呼ぶことがありますが、これは公式な文書では確認されていません。

他の山頂は、中国とモンゴル、またはモンゴルとロシアの国境線上に位置しています。特に、最高峰のフィティン山は中国とモンゴルの国境に位置し、三国国境地点から約2.5キロメートル南にあります。

氷河

タワン・ボグドには、複数の氷河が存在します。2009年の衛星観測によると、その総面積は204平方キロメートルでした。これは、1989年の213平方キロメートルから4.2％減少したことを示しています。この減少は、地球温暖化の影響を示唆しています。

タワン・ボグドの氷河の中で最大のものはモンゴル側にあり、ポタニン氷河やアレクサンドラ氷河などが代表的です。ロシア側の斜面には、2011年の推定で12の氷河があり、その合計面積は22.8平方キロメートルです。これらの氷河は、1962年から2009年の間に大幅に縮小しており、気候変動の影響を受けていることが伺えます。

国立公園と自然保護区

タワン・ボグドは、3つの国すべてで保護されています。モンゴル側では、アルタイ・タワン・ボグド国立公園が指定されており、その面積は6362平方キロメートルに及びます。この国立公園内には、コトン湖、フルガン湖、ダヤン湖などの美しい湖が含まれています。また、アルガリ、アイベックス、アカシカ、ムナジロテン、ヘラジカ、セッケイ、イヌワシなど、多様な高山動物が生息しています。

ロシア側では、タワン・ボグドの北に隣接するウコク高原が、ユネスコ世界自然遺産「アルタイの黄金山地」の一部として保護されています。中国側の斜面からの氷河水は、アックル湖を経てカナス湖へと流れ込みます。カナス湖周辺地域は、中国の国家観光局によってAAAAA級の観光地として指定されており、5588平方キロメートルにわたるカナス湖自然風景保護区が設けられています。

このように、タワン・ボグドは、その多様な地形と豊かな生態系から、国際的にも重要な地域として認識されています。自然保護への取り組みが、今後も継続されることが望まれます。

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