タンザン鉄道

タンザン鉄道の概要

タンザン鉄道は、アフリカ大陸の東南部に位置するタンザニアのダルエスサラームとザンビアのカピリムポシを結ぶ鉄道です。この路線は重要な交通の軸として機能し、特に銅とコバルトといった鉱産物の輸出に大きな役割を果たしています。全長1859キロメートルで、1067ミリメートルの軌間を持ちます。

歴史的背景

タンザン鉄道の建設の背景には、植民地時代の経済状況が深く関与しています。1925年に北ローデシアで銅が発見されると、南ローデシアを経由して南アフリカに銅を輸出する道が切り開かれました。しかし、1964年にザンビアが独立した後、南ローデシアの一方的な独立宣言とアパルトヘイト政策によって、ザンビアの銅輸出は厳しい経済的苦境に置かれることになります。これを受けて、タンザニアからの直接輸出を実現するために、新たな鉄道建設が目指されるようになります。

鉄道建設の協力

1965年にタンザニアのジュリウス・ニエレレ大統領が中華人民共和国を訪問した際、鉄道建設の提案がされました。1967年には、タンザニアとザンビアの首脳が中国を訪問し、1970年に中華人民共和国、タンザニア、ザンビアの三国間で正式な建設合意が成立しました。このプロジェクトには、無利子の借款と約5万人の労働者が関与し、1976年に鉄道が完成しました。

重要性と影響

タンザン鉄道の完成により、ザンビアは国際的な銅輸出のための新たなルートを確保しました。この鉄道により、ザンビアは隣国ローデシアを通過することなく、タンザニア経由で商品を輸出できるようになりました。1979年には一時的な破壊活動がありましたが、その後復旧し、鉄道は依然として稼働を続けています。

現在の運行状況

近年、アパルトヘイトの終焉に伴い、南アフリカとジンバブエからダルエスサラームに向かう豪華列車「プライド・オブ・アフリカ」が運行されるようになり、東アフリカと南部アフリカの鉄道路線が一体化しました。また、2019年にはベンゲラ鉄道と連結され、新たな大陸横断鉄道が開通しました。具体的には、タンザン鉄道は主に貨物列車が運行され、週に2回の旅客列車もあるものの、貨物が主力輸送手段となっています。

経由地点

タンザン鉄道の主な経由地には、ザンビア側のカピリムポシ、セレンジェ、ムピカ、カサマなどが含まれ、タンザニア側ではトゥンドゥマ、ムベヤ、ダルエスサラームが主要な駅となっています。また、途中のムベヤ市には「マラウィ・デポ」と呼ばれる積替え拠点があり、マラウイへの貨物輸送に対応しています。

結論

このように、タンザン鉄道はタンザニアとザンビアの両国にとって経済発展の鍵となるインフラであり、国際的な貿易が行われる重要な輸送路としての役割を果たしています。アフリカの鉄道網の一部として、今後の更なる発展が期待されています。

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