タンブ

タンブ（Tambu）

『タンブ』は、1995年10月にリリースされたアメリカのロックバンド、TOTOによる通算9作目のスタジオ・アルバムです。この作品は、1992年に中心メンバーであったドラマー、ジェフ・ポーカロを亡くして以来、バンドが初めて制作したスタジオアルバムとして位置づけられます。

商業的には全世界で約60万枚のセールスを記録しました。本作からシングルカットされた「アイ・ウィル・リメンバー」は、本国アメリカでは主要なチャートにランクインしませんでしたが、イギリスでは1983年の「ホールド・ユー・バック」以来となる12年ぶりのチャートインを果たし、ヒットとなりました。

また、アルバムそのものも高い評価を受け、1997年のグラミー賞において、ノンクラシカル部門のベスト・エンジニアド・アルバムにノミネートされています。

音楽性と評価

音楽評論家の間では、本作でTOTOの音楽性が大きな転換期を迎えたと評価されています。オールミュージックのレビューでは、これまでのスタイルから一転して、苦悩や哲学的なテーマを内包した歌詞と、ブルース色の強い音楽性へとシフトしたことが指摘されています。リードボーカルを担当したギタリストのスティーヴ・ルカサーのパフォーマンスは特に高く評価されており、なぜ彼がそれまでボーカルの主要な役割を担わなかったのか不思議に思えるほどだと評されました。総体としては、商業的な大成功とは言い難いものの、バンドが新たな音楽的探求へと踏み出したことを示す重要な作品であると結論づけられています。

アメリカのオーディオ専門誌『The Absolute Sound』は、このアルバムを「傑出した」「ほぼ完璧な出来」と絶賛し、TOTOの過去の作品群と比較してもより優れていると評しました。

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

1. ギフト・オブ・フェイス ("Gift of Faith") - (Lukather/Lynch/Paich) - 7:23
2. アイ・ウィル・リメンバー ("I Will Remember") - (Lukather/Lynch) - 6:06
3. スリップト・アウェイ ("Slipped Away") - (Lukather/Lynch/Paich/Phillips/Porcaro) - 5:16
4. イフ・ユー・ビロング・トゥ・ミー ("If You Belong to Me") - (Lukather/Lynch/Paich) - 5:03
5. ベイビー・ヒーズ・ユア・マン ("Baby He's Your Man") - (Garrett/Lukather/Paich) - 5:40
6. ジ・アザー・エンド・オブ・タイム ("The Other End of Time") - (Goodrum/Lukather) - 5:04
7. ターニング・ポイント ("The Turning Point") - (Lukather/Lynch/Paich/Phillips/Porcaro) - 5:25
8. タイム・イズ・ザ・エネミー ("Time Is the Enemy") - (Lukather/Paich/Waybill/Waybill) - 5:40
9. ジャスト・キャント・ゲット・トゥ・ユー ("Just Can't Get to You") (Ballard/Lukather/Paich) - 5:03
10. ドラッグ・ヒム・トゥ・ザ・ルーフ ("Drag Him to the Roof") - (Lukather/Lynch/Paich) - 6:10
11. デイヴズ・ゴーン・スキイング ("Dave's Gone Skiing") - (Lukather/Phillips/Porcaro) - 4:59
12. ロード・ゴーズ・オン ("The Road Goes On") - (Ballard/Lukather/Paich) - 4:26
13. ブラックアイ ("Blackeye") - (Lukather/Paich/Jenny Douglas-McRae) - 3:53 （日本盤ボーナス・トラック）

シングルカットされた楽曲

アルバムからは以下の楽曲がシングルとしてリリースされました。

アイ・ウィル・リメンバー
ターニング・ポイント
ジ・アザー・エンド・オブ・タイム
イフ・ユー・ビロング・トゥ・ミー

参加ミュージシャン

本作の制作には、当時のTOTOのメンバーに加えて複数のゲストミュージシャンが参加しました。

TOTO:

スティーヴ・ルカサー: ギター、ボーカル。加えて「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」でベース、「ロード・ゴーズ・オン」でマンドリン、数曲でシンセサイザーとピアノも担当。
デヴィッド・ペイチ: シンセサイザー、ピアノ、ハモンド・オルガン、ストリングス・アレンジ。また、「ターニング・ポイント」と「ドラッグ・ヒム・トゥ・ザ・ルーフ」でボーカルも担当。
マイク・ポーカロ: ベース。また、「ターニング・ポイント」でキーボードも演奏。
サイモン・フィリップス: ドラムス。また、「ターニング・ポイント」でキーボード、さらに「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」でドラム・ループを担当。

ゲストミュージシャン:

レニー・カストロ: パーカッション（「ギフト・オブ・フェイス」「アイ・ウィル・リメンバー」「ジ・アザー・エンド・オブ・タイム」）
マイケル・フィッシャー: パーカッション（「イフ・ユー・ビロング・トゥ・ミー」）
パウリーニョ・ダ・コスタ: パーカッション（「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」「ターニング・ポイント」「タイム・イズ・ザ・エネミー」）
ジェニー・ダグラス＝マクレー: ボーカル（「ターニング・ポイント」「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」）
ジョン・ジェームス: ボーカル（「ドラッグ・ヒム・トゥ・ザ・ルーフ」）
フィリップ・イングラム: バック・ボーカル
リッキー・ネルソン: バック・ボーカル（「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」「ターニング・ポイント」）
スティーヴ・ポーカロ: ドラム・ループ（「ベイビー・ヒーズ・ユア・マン」）

本作のエンジニアは、エリオット・シャイナー、アル・シュミット、ビル・スミスが手掛けました。

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