タンポン

タンポン：歴史、種類、使用方法、そして安全性

タンポンは、生理中の経血吸収や手術時の止血などに用いられる医療用具です。綿やレーヨンパルプなどから作られた円筒状または球状の吸収体が特徴で、ひもがついており、挿入と取り出しを容易にします。本稿では、生理用品としてのタンポンと、医療現場で使用されるタンポンの両面について詳細に解説します。

生理用品としてのタンポン

概要

日本では、薬局、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで広く販売されています。吸収体の素材は脱脂綿やレーヨンパルプが一般的で、先端は丸みを帯びており、挿入しやすくなっています。防水加工されたひもは、取り出しに便利です。

タンポンを使用することで、生理中でも入浴や水泳が可能になる点が利点です。しかし、出血量が多い場合は、タンポンだけでは漏れを防げないため、ナプキンとの併用が推奨されます。また、出血量が少量の場合は、挿入時や取り出し時に痛みを感じる可能性があります。

重要なのは、衛生管理です。長時間（8時間以上）の使用は避け、清潔な手で交換を行いましょう。また、膣炎や毒性ショック症候群（TSS）のリスクを軽減するため、定期的な交換（1日3回以上）と、ナプキンとの併用が推奨されます。使用済みのタンポンは、必ずサニタリーボックスに捨てましょう。

近年では、洗って繰り返し使えるスポンジや海綿製のタンポンも登場しています。

形状

タンポンには、主に以下の種類があります。

アプリケーター収納タイプ: 紙または樹脂製のアプリケーター（挿入補助具）に吸収体が収納されており、初心者にも使いやすい設計です。アプリケーターにより、粘膜への直接接触を避けられます。コンパクトタイプは、アプリケーターがキャップに収納されているため、携帯性に優れています。
フィンガータイプ: アプリケーターを使用せず、指で直接挿入します。慣れたユーザー向けで、コンパクトで携帯しやすい反面、挿入時に痛みを感じる可能性があります。中には、挿入を容易にするために極細タイプの商品も販売されています。
スティックタイプ: 紙製のスティックを使用して挿入するタイプです。挿入後はスティックを捨てます。日本では既に販売されていません。
スポンジタンポン: ポリウレタンスポンジまたは天然海綿を使用し、水で湿らせて挿入します。繰り返し使用できますが、清潔な管理が必要です。

歴史

タンポンの歴史は古く、古代エジプトのパピルス製のものから、現代の製品へと進化を遂げてきました。アメリカでは1920年代から商品化され、女性の社会進出と深く関わって普及していきました。日本においては、1938年に製品化されましたが、原料不足や誤った使用方法による弊害、そして「処女膜が破損する」という迷信などが普及を阻んできました。1970年代後半のアメリカにおけるTSS発生を契機に、レーヨン素材のタンポンは製造中止となりました。現在、日本では全有経女性の2割程度の普及率にとどまっています。

主要メーカー

日本のタンポン市場は、かつてエーザイ、アンネ、タンパックスなどが競合していましたが、現在はユニ・チャームが市場の大部分を占めています。

毒性ショック症候群（TSS）

TSSは、黄色ブドウ球菌の毒素によって引き起こされる重篤な疾患です。タンポン使用中に高熱、発疹、嘔吐などの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師の診察を受けることが重要です。

医療用タンポン

手術中、出血で患部が見にくくなった際に、血を拭き取るために使用されます。ガーゼ状のものが主流です。

用途外の使用

アメリカでは、アルコールに浸したタンポンを性器に挿入することで、飲酒を回避しようとする青少年が問題となっています。これは非常に危険な行為であるため、絶対にやめましょう。

結論

タンポンは生理中の女性の生活を大きく向上させる便利なアイテムですが、使用方法を誤ると健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。正しい知識と適切な使用を心がけ、安全に利用することが大切です。

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