タ・モク

タ・モクについて

タ・モク（クメール語: តាម៉ុក; 1924年 - 2006年）は、カンボジアの軍人であり、政治家でした。彼はカンプチア共産党の南西部地域書記および党中央委員会常務委員として知られ、特にクメール・ルージュ政権下での影響力を持っていました。彼の経歴には多くの複雑な要素が含まれ、多くの歴史的事件に関与していました。

経歴

タ・モクの本名はチヒット・チョウンとされていますが、これには不確かさが伴います。彼は1930年代に僧侶としての生活をスタートさせましたが、16歳で還俗し、政治活動へと進みました。彼は1940年代にフランス植民地政権に対する抵抗活動に関与し、その後は反日活動にも参加しました。1950年にはインドシナ共産党に入党し、さらに翌年には反フランスの抵抗組織「クメール・イサラク」に加わりました。その後、プノンペンを離れ、クメール・ルージュに参加し、1963年の党大会で党中央委員に選出されました。

彼は1968年に南西部地域書記に任命され、その際、党中央委員会の常務委員および軍事委員も兼任していました。1970年頃には戦闘により片足を失い、以降は「屠殺屋」として知られるようになりました。これは、彼がクメール・ルージュ政権下での大量虐殺を指揮したためとされ、彼の指導する地区は経済的にも厳しい状況にありました。

1976年の人民代表議会の初会合では、彼は常任委員会の第一副議長に選出され、1978年の第5回党大会では農業・農村担当の党常務委員、および軍事担当の副委員長に選ばれ、ポル・ポト、ヌオン・チアに次ぐ重要な地位を確保しました。

クメール・ルージュ政権崩壊後

1979年にクメール・ルージュ政権が崩壊した後も、タ・モクはアンロンベンを拠点にその権力を保ち、北部地域を支配していました。1996年にはイエン・サリが離反した結果、責任を問われて失脚し、その後はポル・ポトにより事実上の軟禁状態となりました。しかし、1997年には彼の支持者が反乱を起こし、結果的にポル・ポトを拘束することに成功しました。タ・モクは自らを最高司令官に任命し、ポル・ポトはその後、彼の下で亡くなります。

逮捕・死

タ・モクは1998年に複数の理由によりアンロンベンからの逃避を余儀なくされ、1999年にカンボジア軍に逮捕されました。彼はプノンペンに移送され、最後のクメール・ルージュ指導者としての役割を果たしました。その後、彼の拘留は延長され続け、彼は最初に脱税の容疑で告発され、2002年には人道に対する罪での告発を受けました。しかし彼の健康状態は悪化し続け、結局2006年7月21日にプノンペンの病院で82歳で死亡しました。

死後の影響

タ・モクの死後、アンロンベン市には彼を追悼する豪華な廟が建設され、彼の旧邸宅は「タ・モク博物館」として一般に公開されています。これらの施設は、彼が関与した歴史を記憶し、今でも多くの人々に影響を与え続けています。タ・モクの存在は、カンボジアの歴史における暗い側面を象徴するものであり、その影響は今も多くの形で残っています。

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