ターキー・ステアーンズ

ターキー・ステアーンズことノーマン・トーマス・ステアーンズは、1901年5月8日にテネシー州ナッシュビルで生まれ、1979年9月4日にその生涯を閉じました。彼は1920年代から1940年代にかけて、ニグロリーグで卓越した才能を発揮した野球選手です。主に中堅手を務め、左投げ左打ちというプレースタイルでした。

ステアーンズの最大の特徴は、そのユニークな走塁スタイルでした。この独特のフォームが「ターキー（七面鳥）」というニックネームの由来となっています。彼のバッティングは非常に強力で、ニグロリーグでは本塁打王を6回、首位打者を3回獲得したと言われています。

1920年に故郷ナッシュビルで野球を始めたステアーンズは、1923年にデトロイト・スターズに入団し、その才能を開花させます。入団初年度には打率.365、17本塁打を記録。その後も1924年（10本）、1925年（18本）、1928年（24本）、1931年（8本）と、4度のリーグ最多本塁打に輝いています。

彼は「試合に勝つことが全て」という信念を持っており、「勝てなかった試合でのホームランは数に入れていない」という逸話も残っています。デトロイト・スターズ在籍中、ステアーンズはシーズンオフに自動車工場で働きながら生活費を稼いでいました。この工場は、当時のデトロイト・タイガースのオーナーであるウォルター・ブリッグスが所有していましたが、当時のメジャーリーグには人種による差別があり、ステアーンズがメジャーでプレーする機会はついに訪れませんでした。

1931年までデトロイト・スターズに所属していたステアーンズですが、世界恐慌の影響で球団から給料を支払えなくなり、1932年以降はいくつかのチームを渡り歩くことになりました。この1932年には、最多本塁打、最多盗塁、最多二塁打、最多三塁打の「リーグ四冠王」という偉業を達成しています。この四冠王は、ニグロリーグではオスカー・チャールストン以来の快挙であり、彼がパワーとスピードを兼ね備えた選手であったことを示しています。

非公式な記録ながら、1930年代のステアーンズの通算打率は.350に達したと言われています。特に1933年から1935年の3年間は、それぞれ.342、.374、.430という驚異的な打率を記録しています。1935年には打率と合わせて3つの打撃タイトルを獲得しています。

1941年、ステアーンズはカンザスシティ・モナークスでのプレーを最後にニグロリーグから引退。翌1942年にはセミプロのデトロイト・ブラックソックスに所属し、1945年にはブランチ・リッキーが創設したステートリーグのトレド・カブスで選手としてのキャリアを終えました。44歳までの野球人生で、本塁打王6回、首位打者3回という輝かしい成績を残しましたが、その後しばらくその功績は忘れられていました。

殿堂入りを果たしたクール・パパ・ベルは「ステアーンズが殿堂入りできないなら、自分もここ（殿堂）から連れ出してほしい」と訴えたと言われています。ステアーンズは1979年にデトロイトで亡くなりましたが、2000年にベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、その偉大な功績が改めて認められました。

ニグロリーグでの通算成績は、750試合出場、打率.350、本塁打172本（または183本）、長打率.664と記録されています。彼は1924年、1925年、1928年、1931年、1932年、1940年にリーグ最多本塁打を獲得しています。

参考資料としては、アメリカ野球殿堂の公式ウェブサイト、ニグロリーグ野球eミュージアム、およびNLBPA.comなどが挙げられます。

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