タークス・カイコス諸島の歴史

タークス・カイコス諸島は、西インド諸島に位置するイギリスの海外領土であり、その歴史は先コロンブス期から現代まで、多様な変遷を遂げてきました。

コロンブス以前

タークス・カイコス諸島には、先コロンブス期にアメリカインディアンが居住していました。最初にアラワク族が住み着きましたが、その後、好戦的なカリブ族に取って代わられました。

「発見」後の時代

1512年、スペイン人のコンキスタドール、フアン・ポンセ・デ・レオンがこの諸島を最初に目撃したとされています。しかし、クリストファー・コロンブスが1492年の航海でサンサルバドル島と名付けた島が、この諸島のグランドターク島またはイーストカイコス島であるという説も存在します。

スペインの奴隷商人は頻繁に島を侵略し、カリブ族を奴隷化しました。その結果、発見からわずか1年後には、諸島の人口は完全に減少しました。

植民地化以前

16世紀から18世紀にかけて、島はスペイン、フランス、イギリスの統治下に置かれましたが、どの国も恒久的な植民地を築くことはありませんでした。1690年から1720年頃には、海賊がタークス・カイコス諸島の小島に隠れ、スペインのガレオン船を攻撃していました。

1681年、バミューダから来た塩の採掘者がグランドターク島に最初の常設の開拓地を設立しました。彼らは、バミューダよりも容易に塩を採掘できる島の浅瀬に惹きつけられました。この植民地化が、現在まで続くイギリスの支配を確立しました。塩の採掘のために多くの木が伐採され、採掘された塩は主にタラの保存用としてニューファンドランドに送られました。

バミューダの世紀

アメリカ独立戦争後、ジョージア州やサウスカロライナ州から約40人のロイヤリストが到着し、1780年代後半から農産業が導入されました。イギリス政府から広大な土地を与えられたロイヤリストたちは、1,000人以上の奴隷を輸入して綿花畑を耕作しました。

しかし、ハリケーンや害虫により綿花栽培はすぐに衰退し、一部は塩の採掘に転向しましたが、ほとんどのロイヤリストは1820年までに島を去りました。残された奴隷たちは、漁業や狩猟採集の生活に戻りました。

タークス諸島を巡り、バミューダは18世紀の多くをバハマとの法廷闘争に費やしました。イギリスの法律では、植民地が他の植民地を所有することはできなかったため、イギリスはタークス諸島を「公共の所有物」として扱いました。バハマはバミューダ人労働者への課税を試みましたが、無視されました。1706年にスペインに占領された際には、バミューダは一度撃退しましたが、最終的にロンドンでの判決でバハマに敗れました。

1799年、バミューダの塩採掘者はバハマの権限を認めませんでしたが、諸島はバハマ議会での代表権を与えられました。最終的にイギリス政府がバハマへの統制を任命したことで、多くのバミューダ人が活動を放棄しました。しかし、メアリー・プリンスは自伝『メアリー・プリンスの歴史』で、バミューダの活動の記録を残しました。この本は、1834年のイギリス帝国での奴隷解放を推進する一助となりました。

バハマ、ジャマイカ下での自治

島はバハマの一部でしたが、1848年にジャマイカ総督の監督下で分割された植民地となりました。しかし、この協定は財政負担となり、1873年にタークス・カイコス諸島はジャマイカに併合されました。1959年に自治権を獲得しましたが、ジャマイカ総督が依然として諸島の総督でした。1962年にジャマイカがイギリスから独立すると、タークス・カイコス諸島は直轄植民地となり、1965年からはバハマ総督が兼任しました。1973年にバハマが独立すると、諸島は単独の総督を持つことになりました。

1973年以降

タークス・カイコス諸島の経済は、製塩業、海綿や麻の輸出によって支えられていましたが、人口の増加が少なく経済は停滞しました。1960年代にアメリカ人投資家がプロビデンシアレス国際空港の滑走路を建設し、最初のホテルが建てられました。観光客が増加し始め、塩の経済を補完するようになりました。その後、クラブメッドもリゾート地を設置し、1980年代には滑走路が拡張されました。今日では、外国人カップルがタークス・カイコス諸島で結婚式を挙げるのが一般的です。

1980年、独立支持の人民民主運動（PDM）が、1982年の選挙で再選された場合に完全独立を認めるというイギリス政府の同意を得ましたが、選挙でイギリスの支配を支持する進歩国家党（PNP）に敗れました。1985年、PNP党首はアメリカで薬物所持容疑で有罪となりました。その後の補欠選挙でもPNPが勝利しましたが、1986年、総督は政府を解散し、諮問委員会を設置しました。その後、1988年に選挙が行われ、PDMが勝利し、ワシントン・ミジックが新首相となりました。

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