ターフェルバーグ (補給艦)

ターフェルバーグ (SAS Tafelberg, A243)

ターフェルバーグは、南アフリカ海軍が運用していた補給艦です。艦名は、南アフリカを象徴するテーブルマウンテンのアフリカーンス語名に由来します。元々は民間タンカーとして建造されましたが、後に南アフリカ海軍に編入され、補給艦としての役割を担うこととなりました。

来歴

ターフェルバーグは、1958年にデンマークの東アジア会社によって「Annam」という名のタンカーとして建造されました。ナクスコウ造船所で建造され、竣工後にはブリティッシュ・ペトロリアムにリースされ、5年間運用されました。

1965年、南アフリカの海運会社SafmarineがAnnamを買収し、「ターフェルバーグ」と改名しました。南アフリカへの回航後、ダーバン造船所にて洋上補給用の装備を取り付ける改修を受け、1967年8月に南アフリカ海軍に就役しました。

衝突事故

1982年2月中旬、ターフェルバーグは南アフリカ海軍のフリゲート「プレジデント・クルーガー (F150)」「プレジデント・プレトリアス (F145)」、そして潜水艦「エミリー・ホブホース (S98)」と共に、対潜戦演習に参加していました。

2月18日午前4時頃、演習中に水上艦3隻は潜水艦の模擬攻撃に対する回避行動を実施しました。その際、「プレジデント・クルーガー」の操艦ミスにより、ターフェルバーグの進行コースと交差。「プレジデント・クルーガー」の左舷胴体にターフェルバーグの艦首が衝突するという痛ましい事故が発生しました。

衝突から約40分後、「プレジデント・クルーガー」はケープ・ポイントの南西沖合に沈没。この事故により、「プレジデント・クルーガー」の乗員16名が殉職されました。

揚陸艦への改修

1983年から1984年にかけて、ターフェルバーグは大規模な改修を受けました。洋上補給用装備が撤去され、中央甲板にはヘリコプター甲板が新設されました。また、大型ヘリ格納庫2基が追加され、ピューマやオリックスなどのヘリコプターを2機運用できるようになりました。

ヘリコプター甲板の下部には、海兵隊員300人分の宿泊設備や医療設備、そして6隻のDelta高速上陸用舟艇を搭載するためのダビットが設けられました。これにより、ターフェルバーグは補給艦としての機能に加え、揚陸艦としての能力も獲得しました。ただし、艦橋前部の甲板には洋上補給用設備が残されており、補給艦としての機能も維持されていました。

退役

ターフェルバーグは、老朽化のため1993年に退役しました。後継艦としては、ドラケンスバーグ (A301)とオーテニカ (A302)が選ばれました。

ターフェルバーグは、南アフリカ海軍において長年にわたり重要な役割を果たした艦艇でした。補給艦としてだけでなく、揚陸艦としての機能も有し、多岐にわたる任務に従事しました。

関連項目

南アフリカ海軍艦艇一覧
軍艦の事故

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