ターリコータの戦い

ターリコータの戦い

1565年1月、南インドにおいてヴィジャヤナガル王国とデカン・スルターン朝との間で行われたターリコータの戦いは、この地域の歴史において特に重要な出来事の一つです。この戦闘は、ヴィジャヤナガル王国がその衰退に向かうための大きな転換点となりました。

戦闘に至るまでの背景

ターリコータの戦いは、デカン地方における永続的な権力争いの結果として生じました。特にヴィジャヤナガル王国とデカン・スルターン朝（ムスリム5王国）との争いは、バフマニー朝の分裂から始まり、長年にわたる敵対的な関係へと発展していきました。特に、両国間の主要な争点となったのはライチュール地方の領有権でした。この地域は、戦略的に重要な地点であり、双方の王国にとって非常に価値のある土地だったため、争いは絶えませんでした。

1542年にヴィジャヤナガル王アチュタ・デーヴァ・ラーヤが死亡し、その後を継いだヴェンカタ1世も内乱で命を落としました。その結果、国の実権は次第にアーリヤ・ラーマ・ラーヤおよびその弟ティルマラ・デーヴァ・ラーヤの手に渡りました。アーリヤ・ラーマ・ラーヤは、国内の安定を目的として、ムスリム5王国を互いに競わせ、その力を削ぐことを試みました。これが、後の戦闘を引き起こす要因となったのです。

戦闘の進行

1564年の12月、ムスリム5王国の連合軍は11万人もの兵を率いてヴィジャヤナガル王国に侵攻しました。一方、ラーマ・ラーヤとティルマラ・デーヴァ・ラーヤはこれに対抗するため、15万の大軍を動員し、12月25日にターリコータで両軍は対峙しました。最初、ムスリム側は和平を提案しましたが、ラーマ・ラーヤの拒否によって戦闘は始まることとなります。戦闘は1ヶ月近く続きますが、1565年1月23日、ラーマ・ラーヤが裏切りによって捕らえられ、短期間後に殺害されてしまいます。

その後、戦闘は続き、1月26日にはヴィジャヤナガル王国の軍が壊滅的な被害を受けました。この戦いで多くの兵士、10万人以上が命を落としました。戦場を見渡したティルマラ・デーヴァ・ラーヤは、急いで引き上げ、ヴィジャヤナガルに逃げ帰ることになります。

戦闘後の影響

戦闘後、ムスリム5王国の連合軍はティルマラ・デーヴァ・ラーヤを追い、ヴィジャヤナガルの首都へ進軍しました。都市は略奪され、多くの人々が犠牲となり、王国にとっては壊滅的な打撃が加えられました。ターリコータの戦いはヴィジャヤナガル王国の衰退の決定打となり、その後の歴史に大きな影響を及ぼしました。

戦後、ティルマラ・デーヴァ・ラーヤはサダーシヴァ・ラーヤを支えにペヌコンダに拠点を移し、1569年には自ら王としての地位を確立しました。しかし、ムスリム5王国の連合は一時的なものであり、戦後すぐに再び争いが勃発しました。アフマドナガル王国は9年後に他国を破り、地域の力関係は再び変動することになります。

ターリコータの戦いを経ても、ヴィジャヤナガル王国はしばらく存続しましたが、周囲の国々からの侵入が続き、最終的には1649年に滅亡することとなりました。戦の余波は長く続き、ヴィジャヤナガルの痕跡は今でもその歴史を物語っています。

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