アフマドナガル王国

アフマドナガル王国

アフマドナガル王国は、15世紀末から17世紀前半にかけて、インドのデカン西部に存在したイスラーム王朝です。ニザーム・シャーヒー朝とも呼ばれ、デカン・スルターン朝の一つに数えられます。首都は、アフマドナガル、パリンダー、ダウラターバードと変遷しました。

王国の成立

バフマニー朝末期、1481年に宰相マフムード・ガーワーンが暗殺されたことで、王国は内部抗争により衰退しました。1480年代後半には、地方長官である総督たちがバフマニー朝からの独立の動きを見せ始めました。デカン西部では、1489年にダウラターバード総督アフマド・ニザームル・ムルクが独立の動きを強めました。そして、1490年にバフマニー朝からの独立を宣言し、アフマドナガルを首都としてアフマドナガル王国（ニザーム・シャーヒー朝）を建国しました。

王国の強勢

初代アフマド・ニザーム・シャー1世の死後、第2代ブルハーン・ニザーム・シャー1世の治世には、1540年頃からヴィジャヤナガル王国のムスリム5王国離間政策もあり、アフマドナガル王国は他国との争いを繰り返しました。しかし、その後フサイン・ニザーム・シャー1世がビジャープル王国を中心とした5王国の連合に加わり、1565年のターリコータの戦いでヴィジャヤナガル王国を破り、その首都ヴィジャヤナガルを蹂躙しました。さらに、1574年にはムスリム5王国の一つであったベラール王国を滅ぼし、そのデカン北部の領土を併合しました。

ムガル帝国の侵攻と滅亡

アフマドナガル王国はその後、深刻な内部抗争とムガル帝国の侵攻にさらされることとなりました。16世紀末にはムガル帝国の軍勢が侵攻し、チャーンド・ビービーの抵抗もむなしく、1600年8月に首都アフマドナガルが陥落しました。しかし、その後、名将マリク・アンバルが首都をパリンダーに移し、宰相となってムガル帝国への抵抗を続け、1626年にマリク・アンバルが死ぬまでには、その領土のほとんどを回復しました。しかし、1633年にはシャー・ジャハーンの軍勢によって再び首都ダウラターバードを落とされ、残存勢力の抵抗もむなしく、1636年には完全に滅亡しました。その領土は、ムガル帝国とビジャープル王国の間で分割されました。

参考文献

小谷汪之『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』山川出版社、2007年。

関連項目

デカン・スルターン朝

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