ダイアジノン

ダイアジノンについて

ダイアジノン（英: Diazinon）は、有機リン系に属する殺虫剤であり、特に農業や防疫において重要な役割を果たしています。この薬剤は、チバガイギーが開発し、日本では日本化薬が製造しています。ダイアジノンは1955年に日本で農薬として登録され、以来多くの農作物に使用されてきました。

用途と働き

ダイアジノンは、農作物に対して非常に有効な殺虫剤で、稲のウンカやツマグロヨコバイといった害虫に効果を発揮します。また、野菜類においてアオムシやアブラムシ、果樹においてはシンクイムシやカイガラムシなどの害虫に使用されます。さらに、家庭内の防疫にも使用されており、ハエや蚊、さらにはゴキブリに対する効果もあります。

加えて、ペット用のノミ取り首輪にも搭載されている製品もあり、用途は多岐にわたります。1999年には、日本国内で単剤として1,474トンが生産されるという実績もあり、広く利用されていることがわかります。

性質と安全性

ダイアジノンは、120℃以上の温度で加熱されると分解し、有害なフュームを発生させる可能性があります。このフュームは、窒素酸化物やリン酸化物、硫黄酸化物を含むことから、取り扱いには慎重さが求められます。また、強い酸や塩基と反応して、劇毒であるチオピロリン酸テトラエチルを生成することがあるため、厳重な管理が必要です。

一日あたりの許容摂取量は0.002mg/kgとなっており、吸入や経口摂取、あるいは皮膚からの吸収を通じて、縮瞳や唾液分泌過多、頭痛、嘔吐、ひいては痙攣といった中毒症状が引き起こされる危険があります。このように、ダイアジノンは有機リン化合物の一種であるため、特に注意が必要です。

厚生労働省は、ダイアジノンを室内環境においての化学物質として評価しており、シックハウス症候群の原因物質の一つとみなしています。室内空気中の化学物質濃度については、指針値を0.29μg/m³（0.02ppb）と定めているため、使用する際にはこの基準を考慮することが求められます。また、水生生物に対する毒性も強いことが知られたおり、環境中に放出されることは、鳥類やミツバチに悪影響を及ぼす可能性があります。

日本では、毒物及び劇物取締法により、ダイアジノンは劇物に分類されていましたが、最近の見直しにより、一部の製品については5%以下の含有量であれば、この分類から除外されています。このように、取り扱いには厳格な規制がかけられています。

参考文献

この薬剤に関する詳細な情報は、植村振作他著『農薬毒性の事典 改訂版』（三省堂、2002年）を参照することが有用です。その他、国際化学物質安全性カードなども重要な参考資料となります。

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