ダイアモンドダストが消えぬまに

松任谷由実『ダイアモンドダストが消えぬまに』：名盤の軌跡と魅力

1987年12月5日、松任谷由実（ユーミン）の19枚目のオリジナルアルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』がリリースされました。このアルバムは、ユーミンの音楽史において重要な位置を占める作品であり、その魅力を多角的に見ていきましょう。

シンクラヴィアの導入と洗練されたサウンド

『ダイアモンドダストが消えぬまに』の特徴としてまず挙げられるのは、シンクラヴィアの本格的な導入です。1983年の『REINCARNATION』で導入されたシンクラヴィアですが、本作でそのポテンシャルが最大限に活かされ、アルバム全体に洗練されたサウンドが実現しています。このサウンドは、1993年の『U-miz』まで続く、ユーミン作品の特徴的なサウンドプロダクションの始まりを告げるものとなりました。

多彩な楽曲群とそれぞれの情景

アルバムには、様々な情景が描かれた楽曲が収録されています。

月曜日のロボット: 半蔵門線永田町駅をイメージした、休み明けのOLの心情を描いた一曲。DIAMOND DUST TOURでは、女性コーラスグループによる「女の子バンド」アレンジで演奏されました。また、ホールツアー後のスペシャル公演では、アルバムジャケットを再現した演出がなされたことも話題となりました。
ダイアモンドダストが消えぬまに: 三菱自動車「新型ミラージュ」のCMソングとして起用されたこの曲は、南半球でのクリスマスをテーマに、恋人と過ごすクリスマスと、一人になったクリスマスの対比を描いた、切なくも美しいバラードです。歌詞に登場する「ダイアモンドダスト」は、スパークリングワインの泡を指しています。近年、様々なリミックスが発表され、その魅力が再確認されています。
思い出に間にあいたくて: TBS系ドラマ『涙日記』の主題歌。新宿駅10番線ホームの山手線内回り最終電車がイメージされています。
SWEET DREAMS: 22作目のシングル曲であり、三菱自動車「新型ミラージュ」CMソング、映画『波の数だけ抱きしめて』劇中歌として起用されました。ドラマ『ルージュの伝言』でもモチーフとして使われています。
TUXEDO RAIN: 第一生命CMソング。どしゃ降りの雨の中での結婚式を描いた、ドラマチックな一曲です。非売品サンプル盤でシングルカットされ、後にベスト盤にも収録されました。
SATURDAY NIGHT ZOMBIES: シングル「SWEET DREAMS」のB面。フジテレビ系『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマとして使用されました。六本木にあるバーをモデルにしているとのことです。
続　ガールフレンズ: アルバム『VOYAGER』収録の「ガールフレンズ」の続編。女友達への応援歌となっています。
ダイアモンドの街角: ロンドンをイメージした曲。
LATE SUMMER LAKE: 過ぎ去りし夏の面影を描いた、ノスタルジックな楽曲です。
霧雨で見えない: 三菱自動車「新型ミラージュ」のCMソング。渋谷・並木橋交差点をイメージした曲で、後にピーボ・ブライソンがカバーしています。こちらも非売品サンプル盤でシングルカットされています。

数々の受賞とミリオンセラー達成

『ダイアモンドダストが消えぬまに』は、第30回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞。さらに、日本ゴールドディスク大賞グランプリ・アルバム賞を4年連続で受賞するなど、高い評価を得ました。そして、このアルバムから1997年の『Cowgirl Dreamin’』まで10作連続でオリジナルアルバムミリオンセラーを達成するという偉業も成し遂げています。

参加ミュージシャン

豪華なミュージシャン陣が参加し、ユーミンの音楽世界をさらに豊かに彩っています。キーボードは松任谷正隆氏、ドラムは江口信夫氏とJohn Robinson氏、ベースはAbraham Laboriel氏、ギターは松原正樹氏と今剛氏など、そうそうたるメンバーが名を連ねています。

まとめ

『ダイアモンドダストが消えぬまに』は、シンクラヴィア導入による新しいサウンド、多様な楽曲群、そして商業的な成功という、複数の要素が三位一体となって、ユーミンのキャリアにおいて重要な転換点となったアルバムと言えるでしょう。その魅力は、今も色褪せることなく、多くのリスナーを魅了し続けています。

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