ダイハツ・クオーレ

ダイハツ・クオーレ：軽自動車の歴史を彩った一台

ダイハツ・クオーレは、ダイハツ工業が1977年から2013年まで製造・販売した軽自動車です。その歴史は、軽自動車規格の変遷や日本の税制、そして国際的な市場動向と深く関わっています。

初代：MAXクオーレ（1977年-1980年）

初代モデルは、1970年発売のフェローMAXをベースに、1976年に施行された新たな軽自動車規格に対応した「MAXクオーレ」として登場しました。ボディサイズを拡大し、エンジンは2サイクル360ccから4サイクル550ccへと変更されました。セダンとバンがラインナップされ、CMキャラクターには当時人気だった小鹿ミキが起用されました。1979年には排出ガス規制に対応したマイナーチェンジが行われ、1980年には生産を終了しました。販売台数は14万4241台に及びました。

2代目：クオーレ（1980年-1985年）

1980年、フルモデルチェンジにより独立したモデル「クオーレ」として生まれ変わりました。ボディタイプは3ドアハッチバックと4ドアファストバックセダンの2種類で、2気筒エンジンを搭載していました。この際に姉妹車として「ミラ クオーレ」が登場します。ミラは商用車として分類され、税制上の優遇措置を受けていたため、クオーレよりもはるかに高い販売数を記録しました。クオーレはオートクラッチ機構も設定され、運転のしやすさが特徴でした。1982年、1983年にもマイナーチェンジを実施、スポーティな仕様やドアミラーなどを追加しました。

3代目：クオーレ（1985年-1989年）

1985年には3代目のフルモデルチェンジを実施。直列3気筒SOHCエンジンを搭載し、ターボエンジンもラインナップに加わりました。ボディは3ドアと5ドアハッチバックが用意され、高級志向の「グラン」グレードも追加されました。ミラと差別化を図るため、内装もより豪華なものになりました。しかし、ミラが引き続き高い人気を博したため、1989年、日本の税制改正（物品税廃止、消費税導入）を機に、クオーレはミラに統合されることとなりました。日本国内でのクオーレの名称は、12年の歴史に幕を閉じました。

欧州市場での展開（1990年-2013年）

日本国内での販売終了後も、クオーレの名称は欧州市場向け輸出車として継続されました。3代目以降、日本のミラをベースにしたモデルが、850ccや1000ccエンジンを搭載して欧州で販売されました。パキスタンでもL500系が現地生産されましたが、その他地域では日本からの輸出が続けられました。2013年、ダイハツ工業が欧州市場からの撤退に伴い、クオーレの販売も終了。36年にわたる歴史に終止符が打たれました。

車名の由来

「クオーレ(Cuore)」は、イタリア語で「心」や「想い」を意味します。

まとめ

ダイハツ・クオーレは、軽自動車規格の変遷、日本の税制、そして国際的な市場動向の中で、その姿を変化させながら長く愛されてきた車です。ミラとの関係性、欧州市場での活躍など、その歴史は日本の軽自動車史において重要な位置を占めています。時代とともに進化を遂げたクオーレは、日本のモータリゼーションを象徴するモデルの一つと言えるでしょう。

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