ダイハツ・デルタ

ダイハツ・デルタ：小型商用車の歴史を彩った一台

ダイハツ工業は、1967年にトヨタグループに加わったことで、トヨタ自動車との緊密な関係を築きました。その象徴として挙げられるのが、小型商用車およびワンボックスカーシリーズである『デルタ』です。本稿では、1970年の発売開始から2003年の生産終了まで、デルタの歴史とモデル展開について詳細に解説します。

デルタトラック：多様なニーズに対応した小型トラック

1970年10月、ダイハツはトヨタ・ダイナをベースとした小型トラック『デルタ』を発表しました。1.5t級のデルタ1500から3.0t級のデルタ3000まで、幅広い積載量に対応するラインナップを展開。初期モデルは、ダイハツ独自のエンジンを搭載していましたが、マイナーチェンジを経てトヨタ製のエンジンに統一されました。2代目（1977年-1984年）では日野自動車へのOEM供給も開始。3代目（1984年-1995年）は、アジアや南米への輸出が1995年以降も継続されました。最終的に2010年に生産が終了するまで、長きにわたってダイハツの主力商用車として活躍しました。4代目（1995年-1999年）以降は、販売台数低迷や排ガス規制強化を背景に、トヨタからのOEM供給へと移行しました。5代目（1999年-2003年）では、日野自動車での生産も開始。2003年、販売不振によりデルタの生産は終了。ダイハツの2t積トラックの系譜は途絶えることとなります。

デルタ750：750kg積みの軽トラック

1971年3月には、750kg積みの小型トラック『デルタ750』が発売されました。こちらはトヨタ・ライトエーストラックをベースとしたOEM車であり、ダイハツ独自のエンジンは搭載されず、トヨタ製のエンジンのみが設定されていました。1979年にはフルモデルチェンジが行われましたが、1982年に生産終了。その後、ダイハツは長らく750kg積みの小型トラックをラインナップから外していましたが、2020年にインドネシア製のグランマックストラックを導入することで、約38年ぶりにこのクラスのトラックを復活させました。

デルタワイド/デルタバン＆ワゴン：多様なニーズに対応したワンボックスカー

1976年11月には、トヨタ・タウンエースをベースとしたワンボックスカー『デルタワイドバン/デルタワイドワゴン』が発売されました。1982年にはフルモデルチェンジを行い、デルタバン＆ワゴンに名称変更。1996年には、トヨタ・ライトエース/タウンエースのフルモデルチェンジに合わせ、最終型のデルタバン＆ワゴンが登場しました。この最終型は、一部にダイハツ独自の開発要素を取り入れ、ダイハツ京都工場で生産されました。2001年に販売終了となりました。デルタバン＆ワゴンの系譜は、その後、アトレー7やグランカーゴへと引き継がれていくものの、2004年に販売が終了。約15年半の空白を経て、2020年、インドネシアで生産されるグランマックスの日本仕様発売により、デルタバンの実質的な後継車が登場しました。

トヨタ、日野との連携

デルタシリーズは、その歴史においてトヨタ自動車および日野自動車との深い連携を示しています。OEM供給や共同開発を通じて、トヨタのライトエース、タウンエース、ダイナ、トヨエース、日野のレンジャー等との技術的つながりを持ち、市場ニーズに対応したモデル展開を可能にしました。この連携は、デルタの進化と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

まとめ

ダイハツ・デルタは、小型商用車市場において長年にわたり存在感を示したモデルでした。トヨタ、日野との連携、そして独自の技術開発を組み合わせることで、多様なニーズに対応する幅広いラインナップを実現しました。2003年の販売終了は、ダイハツの小型商用車戦略における大きな転換点となりましたが、デルタは、ダイハツの歴史の中で重要な役割を果たしたモデルとして記憶されています。また、2020年のグランマックスの登場は、デルタの精神を受け継いだ新たな一歩と言えるでしょう。

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