トヨタ・タウンエース

トヨタ・タウンエース解説

タウンエースは、トヨタ自動車が1976年（昭和51年）から生産・販売している、キャブオーバーまたはセミキャブオーバーの商用車、ミニバン、小型トラックです。ここでは、その歴史と特徴を詳細に解説します。

概要

カローラのコンポーネンツを利用した商用・乗用両用車として企画・開発され、ミニエースバン・コーチの後継車として、既に生産されていたライトエースの上級車種として誕生しました。ライトエースがパブリカ（後にスターレット）のキャブオーバー版という位置付けに対し、タウンエースはカローラのキャブオーバー版という位置付けです。両車の開発・生産は一貫してダイハツ工業に委託されています。

1991年（平成3年）頃までは Toyota Van の名で、マスターエースが北米市場へ、Tarago の名でオセアニア市場へも輸出され、2代目の欧州向けは Toyota Model F と名乗っていました。

初代 R10系（1976年 - 1982年）

1976年10月に3/6人乗りのバンと8人乗りワゴンが発表されました。当初は商用車の雰囲気が強く、ライトエースの上級モデルという位置づけで、ハイエースとの間を埋める役割を担っていました。

初代ライトエースをベースにロング＆ワイドボディ化され、外装はフロントドア及びスライドドアはライトエースと共通ながらも、それ以外は別デザインとされました。エンジンは1,200 ccの3K-J型に加え、カローラ系の1,600 ccの2T-J、12T-U型が設定されました。

1978年10月にはレジャーユース需要の高まりからワゴン系の仕様が見直され、エンジンが1,800 ccの13T-U型へ変更。ワゴン系の足回りが改良され、操縦安定性が向上しました。ワゴン系最上級グレード「カスタムエクストラ」が追加され、ハイルーフ、手動サンルーフなどが採用されました。また、トラックがラインナップに追加され、テールランプはトヨタの小型トラックに共通の横長3色コンビネーションタイプが採用されました。

1979年10月にはマイナーチェンジが行われ、インパネデザインの一新、フロントマスクの一部変更、風切り音や騒音の低減対策などが実施されました。ワゴン系最上級グレードは「スーパーエクストラ」に名称変更され、バンは1,600 cc車に上級グレード「ハイデラックス」が追加されました。トラックのジャストロー系のリヤタイヤには12インチのダブルタイヤが装着され、床面地上高が低くなりました。

1980年12月には2度目のマイナーチェンジで、ワゴン系のヘッドランプが角形2灯式へ変更。フロアシフトの3速ATや5速MTが設定されました。ワゴン系はフロントサスペンションにスタビライザーが装着され、ワゴン最上級グレードとして「グランドエクストラ」が追加されました。

1982年2月には一部変更が行われ、簡易ベッドを装備したキャニオンパッケージが追加されました。

2代目 R20/30系（1982年 - 1999年）

1982年11月にフルモデルチェンジされ、エッジの効いたスタイルとなりました。同時に北米仕様の外観を持つトヨタ・マスターエースサーフが双子車として加わりました。トラックのみこの世代で2代目ライトエースの姉妹車となり、ワゴン、バンとは独立して進化を遂げました。

エンジンは新世代商用エンジンの1Yと、2Y-U型（1600ccと1800cc）へ刷新され、ATも4速となりました。タウンエース初のディーゼルエンジンには、カローラ系の1C型（1800cc）が選ばれました。自動車向け小型冷蔵庫としては世界初の製氷機がオプション設定されました。

1983年4月にはワゴンに2C型2000ccディーゼル搭載車が追加され、5月には3Y-EU型2000ccガソリンエンジン搭載車が追加されました。1985年8月にはマイナーチェンジでスカイライトルーフが新設定され、2C-T型ターボディーゼル搭載車が追加されました。1985年10月にはハイラックス系の駆動系を流用したパートタイム式4WDが追加されました。

1988年8月には2度目のマイナーチェンジで、フロント&リヤビューおよびインパネが丸みを帯びたデザインに変更されました。1992年1月にはワゴン、バンがビッグマイナーチェンジされ、外観、内装が大幅に変更されました。

1993年8月にはディーゼルエンジンが2200ccの3C-T型へ変更され、1995年8月にはワゴン系ガソリンエンジンの制御方式が変更されました。

1996年9月にワゴン・バンの生産が終了し、トラックはマイナーチェンジの上、1999年まで生産されました。

3代目 R40/50系（1996年 - 2008年）

1996年10月に発表。ワゴンモデルは、従来の「タウンエース」、姉妹車の「ライトエース」の車名に「ノア」のサブネームが付加されました。クラッシャブルゾーンの確保のため、セミキャブオーバーとなり、ワゴンのガソリン車は3S-FE型を採用、ディーゼルエンジンは3C型の続投となりました。

駆動系のレイアウトは、短いボンネット内に直列4気筒エンジンを縦置きに配置し、トランスミッション、プロペラシャフトを介して後輪を駆動するFR方式を採用しました。

2001年10月に乗用モデルタウンエースノアの製造が中止され、2001年11月に販売を終了。バン・トラックのみを引き続き生産しました。2004年8月にPM・NOx法の影響からディーゼル車の生産を終了し、2008年2月にバン・トラック共にフルモデルチェンジして販売終了となりました。

4代目 S40#/41#系（2008年 - ）

2008年1月9日にフルモデルチェンジ。インドネシアのダイハツ生産拠点にて生産される「グランマックス」を、日本向けに変更した輸入車となりました。エンジンはダイハツが開発した3SZ-VE型1.5L DOHC VVT-iが搭載されました。バンは標準ルーフとハイルーフの二種類、トラックは2人乗りで、最大積載量が800kg積みです。

2010年7月1日に約2年6か月ぶりに4WD車を設定。2020年6月22日にマイナーチェンジが発表され、安全装備が強化されるとともに、エンジンが2NR-VE型に換装されました。2024年1月16日には国土交通省が当車種とマツダ「ボンゴ」およびOEM元のダイハツ・グランマックスのトラックの型式指定を取り消す方針を固めました。

まとめ

タウンエースは、長年にわたり日本の商用車、ミニバン、小型トラック市場を支えてきた車種です。その時々のニーズに応じた改良やモデルチェンジを経て、現在も進化を続けています。

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