ダイハツ・ムーヴ

ダイハツ・ムーヴ：軽自動車の歴史を彩るロングセラーモデル

ダイハツ工業が長年にわたり生産・販売してきた軽トールワゴン「ムーヴ」は、日本の軽自動車市場において重要な地位を占めるモデルです。発売以来、数々の改良を重ね、時代のニーズに合わせた進化を遂げてきました。本記事では、初代から最新の6代目まで、ムーヴの歴史を詳細にたどります。

ムーヴの系譜：デザインと性能の進化

1代目 (L600/602/610S型：1995年 - 1998年)

ミラをベースに開発された初代ムーヴは、イタリアのデザイン会社I.DE.Aとの協業により、個性的なスタイリングを実現しました。特徴的なキャラクターラインやグリルレスのフロントデザイン、縦型テールランプなどが目を引きます。新開発のEF型DOHCエンジンや4気筒JB型ターボエンジンを搭載し、パートタイム4WDとフルタイム4WDの選択肢も用意されました。当時としては珍しく、リアシートのスライド機構も備え、広い室内空間を実現していました。また、高い全高を生かした高い積載能力も見逃せません。1997年にはスポーティモデルのカスタムシリーズが追加されました。

2代目 (L900系：1998年 - 2002年)

軽自動車規格の改正を機にフルモデルチェンジ。先代モデルの設計を踏襲しつつ、エクステリアデザインは現代風に刷新されました。イタルデザインによる標準車前期型と、ダイハツ独自のカスタムモデルがラインナップされました。衝突安全ボディ「TAF」の採用やデュアルSRSエアバッグの搭載など、安全性能の大幅な向上が図られました。また、電動ガラスサンルーフやオートエアコンなどの快適装備も充実しました。

3代目 (L150/152/160S型：2002年 - 2006年)

標準車とカスタムで異なるデザインコンセプトを採用。標準車はカジュアルで上質な雰囲気、カスタムはスポーティで若々しいデザインとなりました。新開発プラットフォームの採用により、DVDナビゲーションシステムやレーダークルーズコントロールなどの先進装備がオプションで用意されました。また、一部グレードでは跳ね上げ式バックドアが選択可能となり、使い勝手の向上にも貢献しました。

4代目 (L175/L185S型：2006年 - 2010年)

「ビッグキャビン＆コンパクトノーズ」をさらに進化させ、流麗なシルエットを実現しました。KF-VE型エンジンとCVTの組み合わせにより、低燃費と優れた加速性能を両立。室内空間の広さも軽自動車最大級を誇り、快適なドライブを実現しました。カスタムモデルは、よりスポーティで上質なデザインに進化しました。

5代目 (LA100/110S型：2010年 - 2014年)

約35kgの軽量化と、KF型エンジンの改良、CVTへの統一など、さらなる燃費向上を目指しました。アイドリングストップシステム「eco IDLE」の搭載により、高い燃費性能を実現しました。カスタムモデルでは、リアナンバープレートの位置がバンパー上部に戻されました。安全装備も充実し、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止支援機能などもオプションで用意されました。このモデルまで、横開き式バックドアが採用されていました。

6代目 (LA150/160S型：2014年 - 2023年)

軽量高剛性ボディ構造「D monocoque」や改良された足回り「D suspension」の採用により、基本性能が向上。デザインも刷新され、ムーヴはシンプルで安心感のあるスタイルに、ムーヴカスタムはよりスポーティなスタイルに進化しました。軽自動車初となる後方誤発進抑制制御機能も搭載され、安全性能もさらに向上しました。バックドアが跳ね上げ式に変更されたのも大きなトピックです。

ムーヴのバリエーションモデル

ムーヴシリーズには、標準モデルに加え、スポーティなカスタムモデルが常にラインナップされてきました。また、コンテやキャンバスなどの派生モデルや、OEM供給されたステラなど、様々なバリエーションが存在します。

燃料電池自動車への挑戦

ダイハツは、電気自動車開発で培った技術を活かし、1972年から燃料電池自動車の開発にも取り組んでいます。ムーヴをベースとした「ムーヴEV-FC」や「ムーヴFCV-K-2」といった燃料電池自動車も開発されました。

まとめ

ダイハツ・ムーヴは、長年にわたる改良と進化を経て、常に時代のニーズに応え続ける軽自動車の代表的な存在となりました。これからも、その進化は続いていくでしょう。

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